ちょっとずつ、リハビリがてらマッチレポと言えないレベルの試合感想文を書いていこうと思う。
今回は、J1第28節 広島vs清水。
この試合は、現地観戦していた。
ふと気付いた。俺、乾を生で見るの超久しぶり。
— 山田有宇太 (@Grappler_yamayu) September 3, 2022
どれぐらい久しぶりかって、乾が高校二年生の時に柏の葉競技場で伝説のフリーキックを決めた時以来。 pic.twitter.com/VEMgu2B8PF
で、せっかくなので現地で見て考えてたことをメモ、それを元に改めて観戦し、現地観戦とのズレだったり現地だからこそ見れたことだったりを発見できたら良いなあと思っている。
あと個人的に、サッカーを見る目が衰えている実感があるので、リハビリとして巻き戻しをしつつしっかり試合を見ていこうと思う。そんな企画。
大前提「チームを追っているわけでは無い」
一つだけこの記事を書くにあたっての大前提とお願い。
筆者はチームを継続的に観戦しているわけではないので、普段と比べての変化などは見抜けない。
その代わり、見た試合内で起こった事象をしっかり見るつもりなので、第三者目線的な楽しみ方をして欲しい。
現地で観てて思ったこと
予習ゼロの広島清水前半現地雑感。
— 山田有宇太 (@Grappler_yamayu) September 3, 2022
・清水、広島の同数プレスに対する修正に時間かかった感じ。ラスト15分くらいは前進できた感覚。
・広島は野津田松本のサポートでどうズレを作るか、もう少し再現性が欲しい気もする。けどその場その場で何とかできてるしバランスは悪くなさそう。
こんな感じでツイートでメモしつつ観戦していた。ので、それを見ながらざっとまとめる。
広島の前線プレスと清水の前進
現地で見ていたときは、広島がソティリウとナッシムを先頭気味にハメに行っているように見えた。
バチッと数が合ってしまう状態にあって、蹴らされている清水。それが途中からある程度対応できたような印象。
この広島の前線プレスの約束、狙いがしっかり読み取れなかったのでそこをチェックしたい。
広島、茶島の守備強度、松本を添えて
ここ最近出番の増えている茶島。
広島のWBと言えばスピードでちぎるタイプのイメージが強い中で、一線を画すタイプの茶島だがこの試合では守備の対応で輝いていた。
絞るのか外で戦うのかといった判断にほぼミスが見られず。
そして塩谷退場後、5-3-1という苦しい中で試合開始から走り続けていた茶島松本のコンビがとても良い守備を見せていた。
個人的には間違いなく影のキーマンだと思う。
清水の攻撃の終着点はクロスなのか
これも現地で見ていた感想なので不確定だが、ある程度押し込めるようになった清水がクロス爆撃気味だったのが凄く気になった。
結果的にそうなってしまったのか、そもそも設計としてそういう形なのかというのが現地では見れなかったところである。
特に乾という個の力は外だけではなく中へ仕掛けても仕事が出来るわけで、そこらへんどうなってたのかチェック必須。
現地観戦の感想
やはり現地で
・何が原因で展開が変わるのか
・チームとしての狙いなのか偶発的なのか
といったあたりを一発で見抜くのは簡単では無い。ましてや観戦力が衰えている今では思うように見いだせなかった。
それでもやはり現地観戦は楽しい。見たいものにフォーカスすることも出来るし、空気や迫力が違う。
DAZNで見返しながらの感想文
さて、ここからは上記のことを意識しつつ、細かめに試合を振り返ってみたいと思う。
メディア紹介の配置
メディア上で紹介されていた配置としてはこんな感じ。
広島は3-4-2-1、清水は4-4-2。
でも現地で見てた感じでは、広島は2トップ気味の運用に見えたし、清水は3トップのような攻撃が多かった。
その理由については記事内で追々書いていこうと思う。
広島のプレスについて
広島の守備で一つ注目したいのが、前半6分。
乾がシュートまで持ち込んだシーン、その時の守備。
この展開で中を前進し、大外に幅を取った乾がシュートを打てたというシーン。
広島からすれば、2トップの形からプレスにいったところに後ろが連動できなかったのが一番の誤算である。
野津田はソティリウがGKにプレスをかけた瞬間に連動して前へ出ている。
が、ソティリウはパスコースが消せなかったためど真ん中を通されてしまった。
その後に通されたパスは、本来野津田がいれば塞げてたコースである。
この試合、ソティリウの1トップと紹介されていたが守備においては基本的にベンカリファ、時々森島が前線に出ていくシーンが多く見られた。
だから筆者は現地で見たときに2トップだと思ったのだ。5-3-2に近い守り方に変形することが多かった。
あるいは左WBである柏が前に押し出して4-4-2気味に人を捕まえるシーンも。
この変形についてはある程度人についていった結果に近いかもしれない。前がプレスをかけた、じゃあ後ろはどんどん押し出して人を捕まえよう、という大まかなルールの下にボールサイドで数的同数を作る。
このやり方であれば、そこまで人の並びは問題ではない。それよりも先のシーンのように、限定するコースや捕まえる相手を間違えないことの方が大切になる。
あくまでもスタートの配置が5-4-1で待ち構える形であり、押し出せるシーンは押し出そうという守備。
結果としてショートカウンターが多いという評判を産むほどのボール奪取を見せているのかもしれない。
事実、データ上は圧倒的にショートカウンターを持ち味としているようだ。
Football Labさんを是非観て欲しい。
サンフレッチェ広島 2022(Football Labへリンク)
清水の配置
清水は4-4-2という紹介だったが、個人的な印象では4-3-3的な印象の方が強かった。
2トップの一角として扱われているカルリーニョスがボールを受けに下がることが多い、ピカチュウ乾という突破に優れたサイドプレイヤーが幅を確保するという点でそう見えたのだと思う。
サイドハーフというよりウィングのような仕事と言えば良いだろうか、まあそんなに大きな差があるわけでも無いのだが。
守備時にその傾向はより強まり、サンタナが前線一枚でプレスを開始するシーンが多い。
広島の最終ラインが3枚で保持する形なので4-3-3気味に守ることはメリットが大きい。
このように広島の最終ラインに対して同数でプレスをかけることが出来る。
あとはサポートに現れる野津田松本を抑えればビルドアップはそう簡単にできない。
塩谷と茶島が見せた打開
このハメ方を打開する一つの例を提示したのが塩谷。
前半35分のシーン、同数でハメに来ようとした清水に対し、運び出してからサイドチェンジを見せる。
図にすればこんな感じ。
本来ならば、乾がプレスに行くはずだったのだが、それを阻止したのが茶島だった。
茶島はサイドバックがマークに付いてこない位置まで引いてパスコースを作ることで、乾をピン留めしている。
実際このシーンを見てみると、一度プレスに行こうとスピードを上げかけた乾が首を振って茶島を確認した瞬間に減速している。
清水も試合を見ている分には前からかけられるときはゴリゴリ押し出したいように見えるのだが、バックラインのズレが押し出すには足りないというシーンがいくつか見られた。
前半の清水前進できない問題
前半、清水は割と前進に苦しんだ。
広島が最前線2枚でプレスに来たら、剥がせれば一気に進めるけど蹴らされる回数も多い。
1枚で限定から構えられた場合、SBが運び出すところでパスコースを封鎖されるシーンがいくつか。
結果として、広島がプレスをミスしないと綺麗には進めないという展開に。
中盤で意図的なズレを起こせない、バックラインに誰か落ちることも特にない中でジリ貧とも言える状態だった。
清水のロングカウンターの強さ
清水の前線はシンプルに速い。
前半にもあったし、後半立ち上がり直後の自陣スローインから一気にシュートまで行ったシーンも同様。
基本的に前線がみんな速く、打開力がある。昔のニューカッスルをちょっと思い出した。
また、広島が積極的に前線から同数プレスを仕掛けるため一つズレが出来れば疑似カウンターと言っても良い状況になるため、この試合ではなおさらスピードが目立ったと考えている。
塩谷痛恨の退場、広島の布陣変更
当たり前だが塩谷の退場は試合を大きく変えることとなった。
塩谷の対応について
この退場のシーン、つい先程書いたロングカウンターから発生している。
乾にボールが出るより前から最高峰は乾と塩谷の1vs1だった。全くカバーのいない状況。
更にその前は画面に映っていないので推測だが、サンタナと荒木を合わせて2vs2の同数だったはずだ。
あれだけ押し込んだ状況で一番後ろが数的同数というのが広島の特徴と言っても良い。常に前に押し出せるところは押し出すという考え方がここにも表れているのかもしれない。
ただ清水の前線のスピードを考えると、かなりリスキーであることは間違いない。
実際このシーンに限らず決定機も作られていたし。
塩谷の対応に関しては、そもそも荒木が出た時点での立ち位置が前、かつ外過ぎる印象。
セオリー通りに守るのであれば、荒木がボールにチャレンジした瞬間に下がりながら絞るということになる。
もちろんこれは外から見た印象なのでチーム内にどんな規則や狙いがあったかまでは分からない。
だが荒木が前に出た瞬間に乾の動きを警戒できていれば、もう少し良い体勢で迎え撃てたと思う。
布陣を変える広島、それぞれの頑張り
この退場を受け、広島は森島に代えて住吉ジェラニレショーンを投入。
ベンカリファを一列下げ、5-3-1の形に布陣を変える。
この布陣で耐えきった広島は凄い。単純に凄い。
まず一列下げてもしっかり守備から貢献できるベンカリファが偉い。
5-3ラインで守ろうとした場合、3の両脇はマジでしんどい。
真ん中の選手はバイタルエリアを埋める役割があるため、そう広く動けない。結果として担当エリアが広くなる。
このエリアを守るタスクを破綻させずに対応したベンカリファ、終了直前の交代まで走り続けた松本。
そしてこの両脇と連携を取りながら同様に運動量が求められるWBの柏、茶島。
この4人の守備における頑張りが広島の耐久に大きな貢献をしていた。
と同時にテンションの高い試合に急遽投入された住吉の適応力も高かった。
元々対人能力に優れた選手の多い広島DF陣に負けず劣らず良い守備を見せていたと思う。
最後に、個人的に素晴らしいと思ったのがドウグラス。
この耐えるしんどい展開の中で1トップの位置にソティリウと交代で投入されたドウグラスだ。
地味で大変な仕事がこの1トップには待ち受けている。
守備陣が必死に蹴り出したボールを一秒でも長くキープすること。もしボールが繋がればゴールを奪うために最前線へ走ること。
そして守備の1枚目として運動量もコースの限定も求められる。
そんな泥を被るような役割に全力で挑んだ。
川村の先制点の場面も、ドウグラスの体を張ったプレーが起点になっており、ゴール数では見えないような貢献度が非常に高いプレイヤーだと思っている。
ちなみにだが、清水の失点はシンプルにコミュニケーションエラーというかマークの受け渡しのミスだと個人的には思っている。
柏のカットインに対して直前まで川村を捕まえていた白崎がマークを捨てて対応に行く。
その川村を誰が捕まえるのか曖昧なままニアへ走らせてしまったのが大きい。
もっと言えば原と柏の1vs1の時点で中をしっかり切って対応したかったように見える、どちらに限定するのかも含めて守備陣の意思疎通が上手くいかなかった。
そのワンチャンスをものにした広島を褒めるべきと言えばそうなのだが、防げない失点では無かったような印象。
広島は5-3-1にしたあとも、5バックが引いて守るわけではなく積極的に前へと人を押し出し続けていた。
この守備を清水としては崩したかったのだが。
数的優位における清水の攻撃
清水は最後まで点を取れなかった。
広島の考え方としては、3CBの守備範囲を徹底して守らせることにある。その外側は他の選手が頑張り、クロスを上げられてもこの3枚なら簡単には決められないよね、という守り方。
これに対し清水は、回答がなかなか見付けられない。
このように、ボールを保持された場所毎にしっかり守る広島を崩せず、クロス爆撃気味になってしまった。
そしてクロスの先には強靱な3CBが待ち構えている。
CBを引きずり出せなかった
この手の守り方に対して一番有効なのはCBをゴール前から引きずり出すことなのだが、やはり簡単では無い。
ましてや1人少ない状況であれば割り切って守ることができる。
どうしても5-3ブロックに対して攻めようと思うと、外経由で前進したくなるし、そこで振り回すのも一つのセオリーだ。
だが、個人的に見ていて可能性を感じたのはむしろ内側を突いたシーンだった。
中盤が一人少ない相手だからこそ、外経由では無くここを刺しに行っても良かったと思う。
86分のシーンなんかはここから崩そうという狙いが見えたところ。結果として崩せてはいないが、広島の守備陣形が崩れかけるところまではいけてた。
ここを利用する意識がもう少し強ければ、単なるクロスに留まらず色んな可能性を残しながら攻めることが出来たのでは無いか。
だがピッチ上ではこのスペースにそもそも人が居ないシーンがあったり、仮にパスを入れても戻すだけだったり。
このスペースは決して大きくは無いから出し手と受け手の二人だけでは崩せない。もう一人ワンタッチで絡めるような動きが必要になる。
つまり、ここを一つ狙い所にしよう!というのを複数人で共有しなければならない。それは咄嗟に出来ることでは無いのだ。
89分の攻撃なんかも悪くなかったと思う。
ここのスペースで受けようと降りた北川、ついて行く住吉。
住吉を引きずり出したスペースに乾が走り込むことで守備陣を一度崩し、クロスを上げている。
同じクロスでも構えられたところに上げるクロスと一度崩してから上げるクロスでは成功率が大きく変わる。
このシーンは佐々木の身体能力で防げたが、サンタナの後ろに後藤もいたので最初から後藤狙いの大外クロスであれば更にゴールの確率は上がっていただろう。
92分のチャンスも同様に中を起点としてCBを引きずり出した。
こういった攻撃をもっと繰り返せれば点が取れたかもしれない、という清水。
最後は川村の超ロングシュートで点差を広げて広島が勝利した。
雑感
広島は強い、と各方面から聞いているがこいつは強い。
統率がしっかり取れてるし人のために躊躇無く走れる選手も揃ってる。
なにより判断基準が統一されてるから食い違いがかなり少ない。
対して清水はクロスを待つだけの姿勢になりがちなのが少し気になった。
確かに両ウィングは強力な武器なのだが、その先でどう点を取るのかというのが問われるシチュエーションに対して回答が出せなかった印象。
あと現地で色んな事を発見したり一回試合を見ただけで発見できる能力が極端に下がってて悲しくなった。
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