柏レイソルの山田と小屋松について魅力を本気で書いてみた

2024年11月16日土曜日

2024J1 選手個人について 柏レイソル

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柏レイソルが苦しい。一年を通して大体苦しい。

で、そんな状況になるとどうしても選手に批判が行きがち。

私はSNS上で各サポーターを精力的にフォローしたりすることはないのだが、どうしても流れてくるものは見かけてしまう。

その中で、「山田、小屋松をなんで起用するんだ」という声があることに気付いた。私は素晴らしい選手だと思っているのだが。

確かにこの二人は誤解されがちというか、槍玉に挙がりやすいだろうなという気持ちもある一方で、なぜ重宝されているか、どこが優れているか、という点はなかなか知られていない、あるいは見出されていないのかーという気持ちに。

なので今回は、なるべく専門用語や知識が必要な内容にせず、少しでも多くの人に向けて

「なぜ山田、小屋松という選手が優れていると思うか」

ということを書いていきたい。一人でも多くのレイソルサポに届いたら嬉しい。

サイドハーフという役割について


まずもって、山田が現在主戦場としているポジション、サイドハーフについて。

レイソルのシステムは不動の4-4-2。


この形。最も有名というか、戦術に詳しくなくてもこの配置は見たことある!という人も多いであろうオーソドックスな配置の一つ。イギリスではfour-four-twoという名前のサッカー雑誌があるぐらい愛されているシステム。

この右サイドを山田、小屋松は担当することが多い。競争相手は小屋松、島村あたりだろうか。

かつてはドリブラーやスピードスターを配置し、ドリブルでぶっ千切るのが仕事だというイメージが強いポジションだが、チームやチームメイトの個性によって大きく仕事内容が変わるポジションでもある。

サッカーの攻撃というのはこの配置のまま攻めることがほぼ無い。特に最近は、攻守にそれぞれのある程度決まった配置があり変形するのが常識になりつつある。

レイソルで言えば、サイドバックが両者ともに攻撃力のある選手なので、それを活かすために大きく押し上げることが多い。

そんなこんなで、色んな仕事がチームによってあるし、あるいは個性を活かすために役割が変わったりもする、そんな多彩さに溢れたポジションだ。

山田・小屋松がSHで行っている役割(攻撃について)


じゃあどんなことをレイソルでやっているんだい、という話。

内側で起点を作る


山田はスピードが突出した選手ではない。よって、大外でドリブル勝負!というようなプレーをしても成功させるのは難しい。

だがその分、狭いスペースでもボールを受け、持つことが出来る。

なのでその個性を活かし、内側で起点になるのが一つ特徴と言えるだろう。
これに、先程述べたSBを大きく押し出すというのが関わってくる。


良くあるのはこんな形。

大外で幅を取っていながら、内側へ入っていくことでDFを引き連れ、サイドバックが走り込むスペースを作る。
あるいはついてこなければ、そのまま内側でボールをもらえば一気にチャンスになる。


もっといえば、最近は初期配置からこんな形になっていることも多い。







よりイメージしやすいように書けば、センターバック二人からボールを引き出そうと手塚が落ちていき、それに伴ってジエゴと関根が大きくポジションを上げる。サヴィオと山田は内側で起点になったり落ちてボールを引き出しながらチャンスを伺う、というシーン。

レイソルのサイドバックはほぼジエゴと関根がスタメン。どちらも攻撃力が高い。関根に関してはもちろんセンターバックが出来る守備力も特徴だが、体の強さやクロスの正確性を考えると攻撃に参加した方が絶対に良い。ということで、レイソルの両サイドでは大外サイドバック、その内側にサイドハーフという配置が基本的な形になる。

これが小屋松だったらスピードを活かして大外からドリブル勝負できるから関根はちょっと内側で助けに行く役割をしていたりと、選手の特徴によって配置はある程度柔軟に変わっていく。理由としては、サイドハーフが先にポジションを取り、それに合わせてサイドバックが動いていくという順番があるため。小屋松はよりスピードを活かすために外を取ることが多いし、山田はDFとDFの隙間で仕事ができるため内側を取ることが多いかな?という感じ。

ここら辺はあくまでも見ている人の推測なので、実際にどんな指示があって何を考えているかは全然分からない。ただピッチ上、試合中はこういうことが起きやすいなあという話です。


無秩序寄りな柏の攻撃を成り立たせる


このブログでもレビューを書く度に書いているが、柏の攻撃、特にボールを持って進んでいく攻撃(保持)に関してはあんまり整理整頓されていないと思っている。

なので選手個々が考えながらどうにかしていくのだが、その中で山田は大きな役割を果たしていた。

前線が捕まれば列を落としてボールを受けることで時間を作ったり、それによってサイドバックの攻撃を促したり。





こういう狭い隙間でも躊躇せず受けられるのがこの二人の特徴だ。

小屋松はFW起用されてもしっかりと潤滑油となるべく起点作りを積極的に行うし、山田もサイドに張り続けるというよりは大外をサイドバックに任せながら周りを助けようと動くことが多い。

内側に入ってきてもちゃんと判断を間違えずにプレーできる、外側よりもプレッシャーが強い内側でのプレーを怖がらない、という点は二人のスキルが故に持っている武器だと思う。


守備について


あとこの二人で絶対に見逃せないのが守備。


運動量が豊富


もう使い古された言葉かもしれないが、この二人はよく走る。

4-4-2のサイドハーフというのは、得てして運動量が多い。理由はサイドバックの守備を助ける必要があるためだ。


分かりやすく若干極端に書いているが、このように相手が人数を多くかけてくると、サイドバックは内側へ絞る必要があり、その外を利用してくる場合がある。これに対してはサイドハーフが下がって対応しなくてはいけない。

こういった+1人を送り込む、あるいは最初から前線に5人並べるのが最近多く採用されている戦術であり、その対策として守備時に5-4-1、あるいは5-3-2を採用するチームが増えている、というのがここ10年ぐらいの流れ。そこに対して4-4-2を採用していくには、このサイドハーフが絶対にサボらない、走り負けないというのが必須になる。

これだけの守備を行いながら、カウンター時には全速力でゴールへ迫る。そんなプレーが必要だからこそ、レイソルに限らないがサイドハーフは60分前後で交代することが多い。90分持たない前提で仕事をしなくていけない、過酷なポジションなのだ。

超絶臨機応変を求められる役割をこなせる


柏の守備は、そこまで役割が明確化されていない。

やることとしては、
  • いけそうなら前線から一気に奪いにいく
  • 駄目そうならちゃんと引いて構えてみんなで守る
  • センターバックはあんまり遠くまで出て行かない、ただ担当のFWに対してはついていくこともあり
というところは約束事としてありそう。ただ自チーム内での約束事はあれど、相手チームの戦術に応じた対策というのはそこまで見られない。つまり、相手がそもそもの配置でレイソルの約束事を壊そうとしてきたとき、割とアドリブで対処しないといけなくなってしまうのだ。

小屋松山田共に守備の強度が高いだけではなく、判断や細かいポジショニングに関しても現チーム内では有数。特に競争相手となる島村などと比較するとその差は決して小さくない。

レイソルは守備でまずしっかり守れるというのが大事なので、この二人は常にスタメン争いに食い込み続けている、と考えている。

一つの例で言えば、柏は最前線がFW2枚なのだが、相手が最後尾3枚でボール回しをすることがある。
このときにサイドハーフが前へズレて3vs3にするのか、行かずに構えて守るのか判断を迫られるのだが、こういった判断には安定感がある。



ここに関しては小屋松より山田の方が得意かもしれない。一方で小屋松はスピードを活かして圧力の強いプレスをかけることが出来、また二度追い(パスの出先までもう一回追いかける)も繰り返せる。精度の山田、強度の小屋松というところだがこの両者の守備能力は非常に高い。

なぜ誤解されやすいのか


で、もう一個解説したいのはなぜ彼ら二人の仕事っぷりがなかなか伝わらないのか。

ボールを持ったときの派手な活躍が少ない


サッカー選手ってボール持ってないときも山ほど仕事があるんだぜ、という話だったり。島村がめちゃ期待されてるのは、明確にボールを持ったときの期待感が高いから。
一方で小屋松山田、特に山田はボール保持時に輝きを放つプレイヤーというよりも、ボールのないところでチームを助け続けるプレイヤーだと思うので。

関根が今シーズンここまで輝けているのは、間違いなくサイドハーフの献身性と関連があるとも思ってます。ここが起点として動けるから、発射台として機能して関根がぐんぐん上がっていける。サヴィオがタメを作ってジエゴと崩すのは派手でかっこいいですが、違った手法でそれを実現しているのは彼らの能力です。

ぶっちゃけると442の硬さだけなら戦えるじゃん!という唯一の拠り所はこのサイドハーフの頑張りによってもたらされていると思ってます。サイドハーフというか中盤全員かな。中盤4枚は相当頑張っていると。

攻撃に関しても、ポジションを修正してワンタッチツータッチでさっと離すことが多く、なかなか目に付くようなテクニックを見せるわけでも、細谷のようにフィジカルゴリゴリで背負ったりするわけでもない。だから目立たないが、

「必要なときに必要な場所に居る」
「そのための労力を惜しまず走ってくれる」

という貴重な能力を持っている。


だからこそミスが目立つのかも


そんな縁の下の力持ち的役割だからこそ、いざチャンスのシーンでボールを持ったときに目立ってしまうのかもしれない。久々に見た!と思ったらミスかよ!みたいな。

実際、もったいない!と叫んだり頭を抱えるシーンはある。けどそれはこの二人が特別多いと思ったことはないし、それ以上に助けられているシーンのほうが多いと思っているため、この二人が起用されるのを疑問に思ったことはない。


一度この二人に注目して試合を見てみませんか


言い方が合っているかは分からないが、玄人好みというか派手さがないプレーヤーだと思う、だからこそ彼らのプレーにはサッカーの面白いところがたくさん詰まっていると個人的には強く思う。

一個人としてみたときに、サッカーはボールを持つ時間よりボールを持たない時間のほうがはるかに長いスポーツだ。もちろんボールがないと点が入らないが、ボールを持っていないときにも仕事は沢山ある。やまほどある。

なので、レイソルサポは是非一度この二人の動きに注目して試合を観てみて欲しい。

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