前説
お互い残留のために負けられない状況のヒリヒリした試合。
新潟はルヴァン決勝の悔しさを胸に、柏は3試合連続AT失点の辛さを糧に、というところか。
新潟のルヴァン決勝は壮絶でしたね。ポゼッションによる打開で会場が一気に沸く空気は特別なモノだなあとチームスタイルの強さを改めて知りました。
一方柏の3試合連続AT失点、に加えて全部1点差の試合なので直接勝ち点を落とす失点になってるんですよね。3-1→3-2とかじゃなくて1-0→1-1、みたいな。直前7試合が複数得点無しなのでそれはそう。
順位表上の勝ち点差は1、ただ新潟は試合消化数が1少ない。ここで勝てばほぼ残留確定と行ってもいい。柏も確定とまではいかないがゆとりが大きくなる。そんな感じですかね。
戦前のざっくり予想は
- 柏は根性で前からプレスをかけそう
- ただ練度がめちゃ高いわけではないので、新潟がかいくぐれればチャンスは作れる
- ゴール前の硬さはAT以外だと頑張れる柏、ゴール前の理不尽さにちょっと欠ける新潟
- なので新潟が押し込みながら柏が凌ぎ、ときどきカウンターを打つ
そんな展開を予想してました。
全体感
開始早々、普段ロングスローを投げているジエゴに変わって手塚が投げるのにちょっとびっくり。飛距離はイマイチ。
配置の基本はお互いに442、だけど新潟は保持時に325気味になるので配置の穴を柏がどう埋めるか、というのが目下の注目点。
思ってたより五分五分というかそこまで新潟が押し込むことは無く、チャンスをお互いに作るような展開。
配置の基本はお互いに442、だけど新潟は保持時に325気味になるので配置の穴を柏がどう埋めるか、というのが目下の注目点。
思ってたより五分五分というかそこまで新潟が押し込むことは無く、チャンスをお互いに作るような展開。
柏は今までよりも縦に速い攻撃が気持ち多い。配置で数的優位を得るような動きはないので、逆に言えば「素の配置なら全員マンマーク状態」であり、サヴィオが一人剥がす、細谷が走って千切る、木下が一人背負って誰かが追い越す、などで一気にチャンスまで持っていく感じ。
あと今までよりも木下細谷が斜めに走ってスペースを使う、SBの位置付近で起点となる動きが多かった。ぶっちゃけ今の柏は攻め手としてロングカウンター以外そこまで有効ではない、と思っているのでここら辺は合理的というか、メンバーに則した手段として妥当だと思う。
新潟の攻め手は保持時32ないし31を作って柏のCFを見ながら前進する。
少し時間を作れば秋山・長谷川が隙間でボールを引き出せるので、そこを使ってスピードアップする形が序盤はチャンスに直結していた。
ただ引いて構えたときの柏は結構固い。
柏の2CBは高さがあるため簡単なクロスでは点を取れなさそう、理不尽枠のダニーロに対しては身体能力の高いジエゴがマッチアップ、中盤の隙間は白井の強度、ということで押し込んだ後どう点を取りましょう、というのが変わらず問われるところ。
柏のゴールはデザインプレー。
細谷は最初GK妨害要員の立ち位置からキックの直前に離れてターゲットへと変化している。
手塚の試合後インタビューでも練習通りと言っていたように、準備されたプレーが刺さる形となった。
リアルタイムで見ていた時はダメダメだーーーと思っていたけど冷静に見返すとそこまででもなく、むしろある程度ゲームをコントロールしながらやれることに注力しましょうという姿勢が見て取れる柏。新潟もじっくり相手の動きや配置を見ながらどこから崩そうか、と睨むのでがっぷり四つというよりも負けたくない感じの試合になったなあと。
そのうえで、新潟が土壇場で追いついた形は割と繰り返されたというか、試合中に何度か見られた事象がそのままゴールへ結びついた形だったんだなと。
柏のプレッシング意欲と新潟の相性について
観ていてあまりにも気になったのが、柏の前線が新潟GK小島までプレスをかけるシーン、ほぼ必ず新潟は前進に成功している。ちゃんと圧をかけられたのは52分のサヴィオがプレスしたシーンぐらいか。
逆に後ろ三枚を放置気味で構えて守ると、新潟はそこまで効果的な攻めを繰り出せず探ったり、多少無理目に前進を試みてボールロストすることも。
逆に後ろ三枚を放置気味で構えて守ると、新潟はそこまで効果的な攻めを繰り出せず探ったり、多少無理目に前進を試みてボールロストすることも。
なので柏としては構えたほうが圧倒的に効果的では、と思ってはいたがピッチ上では隙あらば前から行くぞ!という雰囲気が漂い続ける。
新潟は相手のプレスに対して「むしろ利用して前進する」というスタンス、ようはリアクション型ポゼッションに長けているんだなあという印象を受けた。しっかり待たれたときにどう前進するかがかなりIH依存でもあるため長谷川が目立つ展開になるのかもな、という所管。
あと柏の前プレがちょっと作戦勇気!という感じすぎるというか、プレスをかけることで生まれるフリーをどう制限するのか全然連動できていないのが辛い。シーズン通してここはあまり変わらなかった。普段であればGKまでかけるとロングボールで逃げてくれる状況でも新潟はしっかりプレスを利用して剥がしてくるのでなおさら。小屋松木下のプレスがむしろ新潟の前進スイッチとなるシーンが多いのは試合を通して思った点。
柏のSB-SH間を利用する新潟
ざっくり図にするとこんな感じ。
この構図が特に右サイドで起こっていた。
後ろ5枚にするメリットとして、この担当をちゃんと明確にして全員迎撃態勢を取りましょうというものがあるが、レイソルは442でずっと行っているためこの課題とはほぼ年中向き合う。解決は特段していない。
86分に小見がポスト直撃のシュートを放ったシーンも、このSB-SH間を利用してアーリークロスを上げたところがスタートになっていたりする。
ここにボールが入るとサイドバックがスクランブル気味に飛び出すので、IHはより自由を経て横パス受けたりそのまま裏へ抜けたりと選択肢が豊富。
新潟はこのIHの振る舞いがかなり適切に取れているので、起点の次の受け手としてよく機能していた。
で、このスクランブル状態に柏のCMFも引っ張り出されがち。ただサイドを攻略してもクロスに対しては柏の高身長DFラインが強いので直接ゴールというのは相当難しい。
というなかで、先ほどの小見のシュートも得点シーンもクロスのセカンドボールだったりする。
クロスのセカンドボール問題とレイソル最終盤問題
これはもう疲労度とかあんまり関係なく、被クロス時というかサイドを崩されたときに柏はペナルティエリア内に人が多く集まる傾向にある。
なので跳ね返した後とか、ゴールシーンのようにマイナスにパスされたとき、結構な確率でフリーの選手にプレーされてしまう。
もちろん場所を埋める、という守備方法もあるため頭ごなしな否定は出来ないが、みんなそこに集まってバイタルどフリー、というのはやっぱりいただけない。ここは仕込みというよりも役割の整理で解決できそうな問題だから指導陣には頑張ってもらいたいところである。
んで3連続後半AT失点で迎えたこの試合、1点リードで迎えるATなので絶対に選手もベンチも意識はしていたはずなのだ。けれども防げなかった。
なにか大きくパニックだなあ、と思わせる点はないのだけれども一つ一つのプレーがどんどん怪しくなっているのはピッチ上から見て取れる。
- 87分の小見のシュート、藤原の得点シーン共に、そこにボールが転がっていくまで誰も新潟の選手がいることを認知出来ていない。露骨にボールウォッチャーになってる気がする。
- 88分の古賀が前線に放った浮き球パス、ちょっと適当すぎやしないかい
- 91分の相手ゴール前FK、時間稼ごうとするも簡単に失いすぎでは
- 得点シーン、土屋の2連続守備エラー(プレスかける方向とクロッサーへ一発で飛び込む)はちょっと辛い
- とはいえジエゴも大外マーク付けてない、熊澤も藤原の存在を認知出来ていないのでもう全体的に止めようがなかった
などなど、普段起きないようなエラーがチーム全体で結構起きている気はする。なので誰のせいというよりはもうチーム全体としか言えない気もする。
交代に関しては別段異論なし。指示がどこまで出てたかは知らんけど!
白井ではなく手塚を残したのは、少しでも保持して時間使いたかったのかな?と思うぐらい。実際ボール奪った後に落ち着かせることが出来たシーンもあったし。
4試合分の失点を見て別個記事にまとめようかなと思っているが、戦術うんぬんと同じぐらいピッチ内もゲームの締め方を思い出せなくなっている感覚は見ていると痛感する。
私はあくまでピッチ外から観測することしかできないから、起きた事象から推測することしかできない。ただ、新潟の得点はスーパープレイでこじあけたというよりも新潟がやるべきことを淡々とやった結果。予兆というか似た現象は終盤に限らず起きていたというのは割と大事なポイントなんじゃなかろうか。
新潟のこれからが見たい
一方の新潟はなんとか追いつき、勝ち点3とはいかなかったが残留に対して相当前進できたと思う。
観ていて選手がしっかり思考、相手を見ながらプレーしているのがよく伝わるし、同じ構図を複数人が脳内に描けているのも凄い。こいつがプレスに来たらここに動けば助けられるよね、というのが共有できているなと。
一方で残留争いまでもつれてしまった要因としては「パワー不足」「中盤のエラーから失点に直結」あたりなのかな?と思っていたりする。
サイドを崩しても最終的にゴール前でなにか理不尽なことを起こせないとゴールというのは決まらない。
前進したその先で何を起こすか、というのが実現した新潟を見たいなと素直に思った。それは前線にお金をかけることかもしれないし、より崩しのアイディアや仕込みを増やすことかもしれない。
ただシティがハーランドを獲得したように、どれだけボールが保持できてもゴールへ押し込む段階はチームとして介入できる要素が少ないよね、という流れがあるのも確か。
あとは中盤でぽこっとパスミスしたときが非常に怖い。このミスを減らすのはもうなにをすればいいか分からないけど。ヴェルディも川井体制鳥栖も同様のシーンはよく見たので、ここはもうリスクを背負い続けるしかないのだが。
で、これらの課題とは別として「がっちり構えた相手をどう動かすか」が気になる。
ルヴァンでも思ったが、新潟はじっくりと相手のアクションを待つ。全く焦れない。だが相手守備も同様に焦れない時にどう攻略していくか。CBがもっと運び出すようになるのか、この試合でも時折見えた鋭い縦パスをもっと狙っていくのか、そこらへんも注目したい。
専門学校時代に何度かビッグスワンで観戦したし、アルビレッジで毎日練習してたし、サッカーのスタイルも好きなので来年は躍進する新潟が見たいなと素直に思いました。ぶっちゃけると現状から躍進の姿が描きやすいのは柏より新潟だな、とも。
その他雑感
- 個人的MVPは立田か長谷川。
- 稲村君、いい選手だなあ。
- 柏の守備は基本的にスタートの立ち位置と狙いがぼんやり決まってて、あとは走る!みたいな守り方なんだけど、クロスのこぼれ球問題と通ずる部分はあるかもなあと、具体的な役割分担が観戦してると見えない。
- 新潟はアドリブガンガンやるんじゃなくて、選手の引き出しが多くてそれぞれ適したプレーを選択するイメージ。
- 柏の速攻志向は大歓迎。ミドルブロック形成とも相性良いし。
そんなところで終わろうと思います。今年ももう残り2試合かあ。
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