2024年 J1 第32節 C大阪 vs 柏「負けられないというより負けたくない気持ちの行方」

2024年9月29日日曜日

2024J1 セレッソ大阪 柏レイソル

t f B! P L


 

最近ちょっと柏の試合を見るのが切ない気持ちになりつつあります。


どうしても試合の中身を見ていこう、となったときに積み上げや進化がなかなか見られないというのが辛いところ。

じゃあ応援辞めるのかと言われればそうではない。好きなものは好きなんだからしょうがない。持論として「好きなチームは一種の呪いだ」という気持ちもあるし。

ということで、今節はセレッソ大阪vs柏レイソル。

割としょっぱい試合というか、お互いに調子が良くないというか、そんな印象を受けた人は少なくないと思う。なぜそんな印象になったのか、というところを解説できたら良いなと思ってます。




レイソルに前節から現れた変化


柏は前節鹿島アントラーズ相手に0-0のドロー。

その前、残留に向けて一つ山場とされていたジュビロ磐田相手に2-0、中身も完敗というなかなかにショッキングな状況だった柏は、鹿島戦から明らかに「強度重視」の姿勢を見せていた。

この試合でもそれは顕著に出ていて、とにかく前線から積極的にボールを追っていく追っていく。セレッソの保持時配置は325なので、保持しようとする側は噛み合わせとしてやりやすいはずだった。

実際、キックオフ直後には教科書通りの442に生まれるギャップを利用した崩しを見せていた。

だいたいこんな感じで、セレッソは主にパスを通していく。


CBSB間、逆大外、スライドサボってたら近いサイドの大外、と理論上空くであろう場所に通そうという立ち上がり。

だが柏は強度重視でボールに対してマークを詰めていく。あとサヴィオが積極的にポジションを押し出すことで最前線を3vs3の同数にするシーンも多い。

最前線から列降りしてサポートにいく選手に対しても、バックラインが捕まえたままついていく。これも前節の鹿島で鈴木に対して取っていた対応。
あとは頑張って二度追いする、バックラインはスライド頑張る、というところを徹底。
結果的にセレッソが綺麗な保持前進を見せるシーンは案外少なかった。


元々今シーズンの開幕時からレイソルは442の強度に関してある程度の評価を得ていた。そこに上積みが全然見えないぜ!というので割と絶望したので、改善したというよりも原点に立ち返った、と言えばいいだろうか。言葉を選ばずに言うなら振り出しに戻るとも言えるけど。

ただ残留のために負けないサッカーを、となったときにひたすら強度高く、交代選手含めて頑張りきる、というのは手を付けやすい。新しいことを取り入れるわけじゃないから混乱も起きないし。

で、その雰囲気は攻撃にもあって、少し前までは綺麗な保持前進を目指して粘るシーンも多かったがこの試合ではシンプルなロングボールが増えていた。
変なところでミスを起こしてピンチになるぐらいなら簡単に前線へ蹴って、強度でラインを押し上げてセカンド拾って、というスタイル。ぶっちゃけるとネルシーニョ時代とほぼ一緒。

ただそんな中でも異次元の上手さを見せるサヴィオが時間を作りチャンスを作りと獅子奮迅の動き。ちょっとものが違いすぎる、何回股抜くねん。



ミスと分断と重心の重さに苦しむセレッソ

一方のセレッソも見ていてなかなかしんどそうな状況ではあった。

保持を目論む上でミスしてほしくないようなパス、勝負ではないパスでずれるシーンが結構多い。横にずれたり、浮いちゃったり。

またバックラインは32配置と41配置を曖昧に行き来しながらなんとか時間を作るが、前線の5枚と分断を感じる。レイオフがしにくそうな距離の遠さだったり、また前線5人の中でパス交換をするのもちょっと難しい。
上手く時間を作れないというか、ボールは回ってるんだけど柏のマンツー守備に対して大きな猶予を誰かに与える、ということが叶わない。

なのでだいたいセレッソが綺麗に前進出来るときは立ち上がりを覗けば、逆サイドに大きなボールを届けられたときが主。あとは3バックの脇がパサーとして前を向く時間を作れたときなんだが、それを意図的に引き起こすところまでなかなか至らず。

例えば広島なんかは松本が2列目からガンガン飛び出してバグを起こさせたり、加藤が大きく列落ちすることでフリーになるorCBを引っ張り出す、といった形で変化を付けたりするのだがここのトライがなかなか出来なかったかな?というのが見てての感想。


あと気になったのは守備。
セレッソの試合を全然見れていないので、いつからかは分からないが最近この3バックに着手したという話を聞く。守備時は541。
なんだけど、柏の攻撃は良い配置を取って前進すると言うよりも前線のマンパワーを活かしたロングボールからの攻撃がメイン。セレッソの守備が後ろ重心でプレスをかけきれなかったため、保持者がフリーで狙い澄まして蹴る、あるいは蹴る振りして縦パスを打ち込む、というところをやらせすぎていたようには思う。

特にレイソルが熊澤を投入してからはそれが顕著というか、あれだけ猶予があればレイソルといえどちゃんと打ち込んで崩すぜ!というチャレンジできちゃうぐらいの重心だった気がする。


逆方向にお互い上手く行かない

レイソルはとにかく強度でガツガツいく、だがバランスは取りづらく、また剥がされたときにピンチになる。よって無理矢理止める場面が増え、結果的にイエローカードが嵩んだのはそうなるよなという納得の結果。

一方のセレッソは重心を低く、エラーが起こりにくい体勢を取ったが故に点を取るパワーや相手からボールを取り上げる圧をなかなか出すことが出来なかった。またレイソルが構えて守るシーンでは押し込めるが、強度を押し付けられたときに回避できず、また頑張って回避するぞ!プレスと向き合うぞ!という姿勢よりもセーフティさを感じた。

なのでお互い真逆の方向に上手くいかない、見ている側としてはもやもやを感じさせる試合となった。
ただ両チーム的には負けなくて良かった、勝ち点1を拾えて良かったなのかもな、という感覚。あくまでも見ている側の想像だし、勝ちたくないわけが無いんだけど、それでもそう思わされる展開とテンポとパワーの出し方が両者共通していた気はする。


レイソルはひとまずやるべきことを定め、そこに向かってひたすらやる、というスタイルに戻りそう。人を捕まえにいく、二度追いしてでも守備の人数を合わせる。強度で潰せなければやられるが、構えて守るよりは勝ち点が計算できるというところ。

一方のセレッソはミスの起こり方が切ない。なかなかクリーンに渡せるパスコースが作れず、それでも精度が高ければ通ったり成立する場面でミスが起こる。リスクを背負うような勝負パスではなく、構築の段階で起こってしまう上に頻度がボチボチ高い。ただ致命的に崩壊するようなシーンも見られなかったため、こちらも固さという点ではある程度計算が付くのかもしれない。
ここの変化に関してはセレッソを定点観測している人のレビューを観に行って参考にしようかなと思っている。




レイソルの今後について


直近2試合を見るに、改めてレイソルは守備強度という原点に立ち返っている気がする。
行くときはいく、その頻度を今までよりも上げる、後ろからマークをどんどん捕まえにいって管理を明確にする。
攻撃は比較的シンプルに、頑張って保持前進を試みるよりもしっかりタイミングを前線と合わせて速い攻撃を目指す。余裕とスペースがあれば繋いだりもする、ぐらい。

なので今までよりも選手間に迷いはなく、意思疎通は出来るようになっていそう。
途中でも書いたが、ぶっちゃけてしまうと開幕時に戻ったと言えちゃうし、ネルシーニョ期とやっていることはあまり変わらないというのが悲しい部分でもある。

ただそれでも、J1に残ることが至上命題、かつ監督を変えて成功するか分からないという意味では現状取れる最良の選択だとは思う。
元々の武器であった442の強度、というのが唯一の拠り所になってしまったのは悲しいが現実は現実だ。また戸嶋手塚というメンツならチームとして統制が取れずともボールを前進させる能力を発揮できる場面もある。

今までよりはチームとして連動する戦いが見れそうなので、ちょっとだけ楽しみにしたい。
とはいえ来年以降どうするかは全然別の話・・・という。

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