2025 J1 第9節 柏vsガンバ大阪「ガンバが施した修正、原田と山田の価値」

2025年4月6日日曜日

2025J1 ガンバ大阪 柏レイソル

t f B! P L




引き分けが続きなんとか勝利をもぎ取りたいが、ここ最近はボール保持に対して対策を立てられ始め苦しむ柏。
対するは同様に苦しみの時期が続くガンバ大阪ということでお互いにきっかけにしたい試合。

満田がどんな役割をするのか楽しみだなーという目もあって試合をリアルタイムで見てました。

ちなみに柏の前節レビューはこちら、システム変更とかいろいろ参考になると思うので時間ある人は合わせて読んでね!

2025 J1 第8節 京都vs柏「ハンドの解説、京都の攻撃、細谷の向き合う課題」



序盤の柏の圧倒的保持について


前節とは打って変わり、立ち上がりから明確に保持を目指す柏、そしてガンバの配置や対応も相まって柏がボールを持つ展開で序盤は進む。

ガンバは433で構えるが、3はいずれも真ん中を消し気味。小泉、渡井の中間ポジションが気になるのかなかなか人を捕まえにいけない。
よって柏のWBが落ちて受けたらフリー、あるいはマークを引っ張ることでCB前にスペースを生み出すことに成功。



このスペースを使って柏はじっくりと前進する時間が出来た。あと開始直後はこのスペースを原川熊坂が使うような動きも見せてたり、スペース攻略に対する準備はいろいろあったかもしれない。
またガンバはどこで守りたいのかがイマイチ見えず、絞り気味の33ラインなんだけど中央のパスコースを消しきれないまま中央もサイドも使われる展開がしばしば。

よってこれが修正される前半30分までは、柏がやりたいことを存分に見せる展開となった。
ただし、この時点でもロングボールから人間性能を活かしてガンバがチャンスを作れそうな匂いは若干しているのは間違いない。あとセカンドボールの回収やジェバリに対するサポートで満田がいい働きをしていた。満田ジェバリヒュメットで攻撃の完結を狙いつつ、一回押し込んだらアラーノが絡むことで攻撃を作り直すことも出来る。

こういったシーンを何度か喰らっているだけに、柏としては前半30分までで点を取っておきたかったという気持ちは強そう。




ガンバの修正と影響


前半30分頃からガンバは442チックな構えへ修正して対応を図る。いくらなんでも持たれすぎ!となった気はする。
これによって多少守備が安定、それに伴って押し込まれ方がマイルドになった。
ただプレスが定まって熊坂へのパスが狙われるんだけど、それを利用して熊坂が前を向く秀逸なプレーが何度かこの試合であり、その度にスタジアムは沸いていた。あのターンが出来るのは貴重な能力だと思う。

これはそのままボール奪取時にも良い影響があって、押し上げる距離が短くなったためセカンドボールが拾いやすくなったり、スムーズに回収できるようになったり。

結果2つの超決定機を生み出すも、柏が必死のブロックで守り切る。
柏は完全撤退守備時には安定感があるものの、被カウンターとプレス強度上げたところをひっくり返された疑似カウンターチックな時にたいていチャンスを作られている。

ガンバのボールを持つ姿勢から起きるバックパスからのやり直し、それをスイッチとして発動する前プレ、それを観てジェバリへのロングボール、というのは一つ再現性のあるガンバの攻撃だった。

よって前半の終わり際はやや柏が耐える展開もありつつ、0-0で前半終了。



柏CB陣の起用と原田の投入


ハーフタイムに柏は犬飼を下げて原田を投入する。
ペナルティエリア手前までは押し込めるのだから、そこから先を崩すぞという意味合いでの投入、だと個人的には思っている。
47分に早速その効果というか、原田が適切なタイミングで攻撃参加を見せている。

3バックの両脇CBが突撃するのはヨーロッパとかだとたぶん結構ある。最近あんまり見れて無いから自信は無い。Jリーグでもかつては浦和、ここ数年だと広島なんかが得意としているイメージ。
と同時に原田の逆CBに配置されているのが田中、以前であれば杉岡という守備に長けた選手なのも改めて納得がいく。前半も古賀を前に押し出す右上がりの非対称配置がちらほら見られたし、田中のフィジカルとスピードでカウンターに対して戦うというのは理にかなっている。

とはいえ犬飼もいいプレーを見せていたことで、CBの層がしっかりしている手応えを得られているのは柏にとって大きな収穫だろう。

また攻撃時に原田は内側へ絞りながら擬似ボランチ的な役割をすることで、久保が必要以上に絞りすぎないポジショニングを取れることも効果はありそう。

ここら辺の起用は今後も基本的な序列はありつつ目的や対策によって選択していくことになりそうだし、スタメンを観てあーだこーだ話せそうで楽しみですね。



お互いの交代による攻撃のテコ入れの行方


ここら辺からお互いに攻撃のテコ入れを含めた交代が行われていく。
ガンバはジェバリ、アラーノを下げて宇佐美、山下。
柏は原川の負傷で山田、そして渡井に代えて仲間。

で、それらの交代直後に柏が先制。ぶっちゃけ交代が直接何かに関係したかと言われると難しい。
ただ渡井よりもゴールに向かって動き出しを作っていけるのが仲間の特徴であり、その動き出しが事故を招くきっかけにはなっていた。
また保持である程度押し込む回数があった以上、試行回数を増やしていけばいつか点は取れる、という意識もあったと思う。

またキーマンとしてあらゆるところから高評価を受けていた原川に変わった山田が遜色ないパフォーマンスを発揮していたのも非常に大きい。山田に関してはこの試合影のMVPレベルで私は評価しているので後述したい。

73分のパスワークからコーナーまで繋がった柏の攻撃は特にやりたいことが明確に見えたモノだと思う。
こういったサポートとポジショニングで無理なくスムーズに前進出来るのはやっぱり観ていて楽しい。

ガンバは宇佐美が投入されたことで保持時の安定感は増したが、一方でジェバリという明確な勝負所を失ったときにどう崩すのかがちょっと見えてこなかった感じがある。またカウンターで山下のスピードを活かしたかっただろうが、田中が良い対応を続けていたことも大きそう。

ただ地上戦で戦うぜ!となったときに柏のプレスをパス回しで誘発させ、2CHの横を使う狙いは何度か発生していて面白いなと思った。




難しいのは、地上での前進や保持が安定するのとトレードオフで理不尽力やフィジカルマンパワーが下がってしまうこと。しっかり攻略し切れればチャンスは作れるが、前半ほど状況関係なく一気にチャンスへ持ち込む力は失われてしまう。
それだけジェバリ、アラーノの影響力は大きかったように思える。属人性をなくすのであれば後半の攻め方が必要になってくるが、どっちを選択していくのかは今後観てみようじゃ無いか案件だと思う。
あと地味に苦しそうだったのが、満田が担っていた最前線へのサポートとセカンドボール回収の役割を埋め切れなかったこと。あそこの仕事がもう少し交代後も誰かこなせていれば、柏はもっと苦しかった気がする。


結果、最後まで保持の姿勢を崩さず時間を過ごした柏が逃げ切る形で久々の勝利。




ガンバの守備に思う


ガンバはボールを取り上げるのか、完全撤退からカウンターを撃つのか立ち上がりに定まりきらなかったのが結構辛そうだった。
柏は保持し続ける事でゲームのコントロールに加えて「相手を消耗させる」というメリットも享受している。

なので中途半端に奪いたいけど奪えない、を繰り返してしまうとその反動は後半に着てしまうことが多い。撤退するのであればしっかり撤退して、万全の守備からジェバリを起点としたカウンターを撃ってみても良かった気はするし、前半30分までは特に守備が混乱し続けていたのでもったいない時間の過ごし方だったかもなと。

他の試合をそこまでしっかりと観れていないので、この試合だけで語るのはお門違いかもしれないが、柏の配置というのは比較的予想がしやすかったはずで、それに対してちょっと無防備だったのは間違いない。

相手に合わせるよりも自分たちのやり方を!という部分なのかもしれないが、そうなると守備が安定するのはだいぶ先になるのかもしれない。データとしてみても9試合15失点と壮絶なデータになっている。

守備を安定させてジェバリ中心のマンパワーアタックを仕掛けるのか、保持による安定を引き続き思考して挑んでいくのか、どっちを選ぶのだろう。



山田の起用と役割の変化


山田はスクランブル的に原川の負傷により投入、そのまま原川が務めていたCHへ。
そしてその後の交代で白井がCHに入り、山田は小泉にかわってIHへと変化する。

この二つのポジション、やることもプレーの選択基準もだいぶ違うし、どちらにおいてもポジショニングと技術両面が求められる難しいポジションなのだが、山田はしっかりと適応して見せた。これは柏にとって非常に大きなことだと思う。

昨シーズン、実はこんな記事を書いている。



この記事の中で、

小屋松山田、特に山田はボール保持時に輝きを放つプレイヤーというよりも、ボールのないところでチームを助け続けるプレイヤーだと思うので。


という文章を書いている。
この記事を出した翌シーズンに小屋松が各所で高評価されるほどの働きをしてくれてめちゃめちゃ嬉しかったのだが、同様に山田も出番が来ればきっと見せてくれると信じていた。

そしてこの試合、山田は遜色なく良い働きを見せた。CHとしてはパスの逃げ場になりながらリスク管理と守備を行い、一列前に行けば崩しの部分で工夫をしつつプレスの強度を出していく。

もちろん競争相手はかなりレベルが高い。それでも山田は必ずスタメンに絡む日が来ると信じているし、 交代メンバーとしても質が保証されていることはチームの救いになる。
同じ名字という縁も含め、応援していきたい。

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