2024年 J3 第27節 鳥取 vs 沼津「プレスに対抗するリスクとご褒美」

2024年9月8日日曜日

2024J3 アスルクラロ沼津 ガイナーレ鳥取

t f B! P L


 

J1以外も観なければ、という危機感に似た感覚がここ最近強まっております。

EUROを通して個人的に

  • 今まで過去に観た記憶と予測に頼って色々考えていた
  • 戦術のトレンド的なものが全然掴めてない、特にヨーロッパを観なければ
ってことを考えるようになったんです。別に誰かと競うわけでもないんですがね、ただ個人的にそう思うようになりまして。

で、せっかくなら書こう!と思うのですがプレミアはまだスピードについて行けず見るので精一杯。なので普段なかなか観ないチームとして、J2やJ3もどんどん書いていこう、というのがいったんの方針。

そんなこんなでひとまず観てみよう!と思い立ったのがガイナーレ鳥取vsアスルクラロ沼津でした。理由は鳥取に嫁さんの推し、Youtubeでも活躍中の田中恵太選手がいるので鳥取に興味が湧いてきたこと、沼津には同級生がいること。

ただこの二人、結果的に試合では見れませんでした。田中は怪我で離脱中、同級生はベンチにいたものの出場なく!とはいえ見てて楽しい試合でした。

事前情報はホントにありません、なのでほぼ初見チームvs初見チームです。


ざっくり展開


ということで、まずは配置を見出す作業から。そうか沼津には川又齋藤学というタレントがいるのか、なんてことも思いつつ。キックオフ50秒でイエローをもらう川又は元気いっぱいでした。

鳥取は基本的にボールを持ちたそう。相手を観て、繋げるところはしっかり繋ぐ、かつただボールを渡すのではなく少しでも相手が嫌がるところを、という意志が見える。ここら辺は完全に僕の好みなのですが、東京ヴェルディとかちょっと前までの鳥栖とか、こういうサッカーは好きです。

ただその保持をさせず、強度で潰しに行く沼津の狙いが立ち上がりはハマって押し込む場面も多かった。配置が整わないスピーディーな展開、あるいはお互いに間延びするオープンな展開というのは個々の能力で圧倒しやすい。選手の局面での強さを観ると沼津の方に分がありそうなので、そういう意味で沼津は理にかなっていた。

7分の鳥取先制点は伊川の動き出しが秀逸。
蹴る直前まで足下にロングボール欲しい雰囲気を出しつつ、直前に前方への走り出しをスタート。それを見逃さずに前方へ蹴った高柳も凄い。ギリギリまで受け手を見るというのはマジで難しいんですよ。

その結果、伊川は余裕を持って保持、引きつけたところで裏へ飛び出した普光院も偉かった。相手の圧に対して、どこが空いてるかをちゃんと観て判断したご褒美だと思う。ゴールの前の流れでは右から左へのサイドチェンジ、そして逆に左から右へのサイドチェンジと繰り返されているので、沼津の4バックに対して大外がしっかり幅を取っていこうという狙いがあった気はする。そしてその左右の振り回しが綺麗に機能したゴール。

得点を決めた曽我は福山シティにいたということで、元地域リーガーの端くれとしてこういうのは凄く嬉しいですね。

532への対処法の違い


この試合、鳥取だけではなく沼津も攻撃時の配置が325だったのですが、守備隊形が鳥取は541気味、沼津は442なので守り方、あと切り替えの部分でお互いどう対応するかが分かれるところ。

鳥取の守備としては541なので一番後ろは枚数が一致する、なので迷うことなく捕まえていけば良い。鳥取の先制点のような、大外人が足りないぜ!という場面はほぼ生まれないか前方になる。加えて325の2に対してはCHがそのまま捕まえに行けばいい。

その上で、チャンスがあれば433チックに前に押し出していくことで最前線を3-3の同数にしてボールを奪いに行く姿勢も時折見せていたのが印象的。引くだけじゃないぞ!というところ。

でもって構えたときの鳥取は、守備の意識として「ブロック外でやらせる分にはいいよ」というのもありそう。奪うのではなくブロック外に押し出していくような守備を見せていくので沼津は試合を通してだいぶ苦労してました。
54の中、特に中央付近の隙間はしっかり閉めましょう、外で持たれる分には中を割られるよりぜんぜんいいです、そんな雰囲気。



ただ大外には齋藤学が居て、中には川又がいるので多少外で剥がしてクロスを放れば可能性を感じるという構図ではあるのですが、辛抱強く対応し続けたのが無失点という結果に繋がったかなと。

54ブロックを引いて守ると守→攻(ポジティブトランジション、ポジトラと言われたりする)の時に全体の位置が低い、という事態になりやすいのですが保持前進をしっかりしていくチームなのでそこまで致命的な問題にはならないようにも見えました。

一方の沼津は先にも述べたように、442で圧力を高めてボールを奪いに行く狙い。
なんですがこの試合は圧力に対して鳥取が立ち向かって保持を挑む構図になっていきます。

ただこれがなかなか奪いきれない。
まず鳥取の後ろ3枚に対して2トップが守備を始めるんですが、そこに対して鳥取は怖がらずにドリブルで運びながらパスコースを探す、あるいは作るのでCFのプレッシングがそこまで機能しきらなかったこと。
次に、325チックではあるが鳥取のWBはパスコースを作るためにある程度ポジションを下げてプレイするシーンも多く、合わせて前線もパスコースを作りに行くため3421的な配置で前進するシーンが意外と多いんですよね。

この3421ってのが442で捕まえようと思うと結構大変。


ざっくりいうとこんな感じで、最終ラインが誰をどう捕まえるのかが難しいんです。
しかも最前線は鳥取のほうが一人多い上にGKも使う意識があるのでここで奪うのも難しい。

28分の鳥取が見せた保持なんかは凄く良かったですね、IHがCHに対してしっかりとサポートに行く意識がある結果、はめ込みに行った沼津のプレスを剥がす形となりました。で、剥がした後気がつけば右サイドは高い位置で幅を取っている。

今は助けにポジション落としてパスコース作るのか、今は高い位置や幅を取って広げるのか、という判断が良く浸透しているなという印象のシーンでした。

この流れというか大枠の構え方はお互い変わることなく、従って基本的には鳥取がやりたいことを表現することで沼津のやりたいことを押さえ込む形に。

何度か前進時にミスがあり、その時は当然沼津のチャンスになるのですがリスクと向き合い続ける姿勢を曲げない意志を見せる鳥取。

前半中に、普光院の飛び出しからループというカウンターも成功させ2点目。
2列目から飛び出し、かつCBの背中を取ったのが上手かった。

流れの変わる原因


後半立ち上がり、沼津が攻勢に出る。
結構サッカーの試合でこういうことはあって、ガラッと試合展開が変わる時間帯がある。
これを「流れが変わった」と表現すれば簡単なのだが、出来ればその原因を見いだせるようになりたい、と最近は思う。

この試合で言えば、後半立ち上がりの沼津の変化として
  • ブロック内へ刺すパスの意識が上がっていそう
  • 良い形で押し込んでいるのでセカンドボールの回収率が上がった
  • 改めてプレスの強度を上げたことで、鳥取に蹴らせて回収が出来た
というあたりが大きそう。見返してみるとプレスの強度がかなり高いし、1stDFがどっちに限定するかがはっきりした上でスピード出しながら詰めているので、鳥取が繋ぐという選択肢を取れない状態に持ち込めていた。
鳥取からすれば逆にこういう圧に対して立ち向かう保持が次に目指すものになる、かもしれない。

ただこの流れで点を決めきれなかった沼津に対し、3点目を決める鳥取。
後半10分ぐらいまでプレスの圧に屈していた部分があったが、普光院がプレスを剥がす反転から一気にチャンスメイクして最後は松木。

ここの普光院のターンは素晴らしい、ここで引っかけたらまた同じく押し込まれる展開なのだが、それでもやるべき選択肢をリスク背負って遂行することで結果に繋がったと。

沼津としては安在がそのまま普光院に厳しくいければ防げたっぽいんですが誰が1stDFとしてボールいくねん!というのがぼやけちゃった感じですね。

後半30分ぐらいから沼津はごりごり押し込む展開に。たぶんこの試合展開が作りたかったんだろうなあと思ったり。
押し込む→失ったら即時プレス→奪うor蹴らせて回収、というサイクルが上手く回る、ただ反撃は1点に留まり試合終了。


雑感

  • 普光院、めちゃ上手いし居てほしいところにいて凄い。
  • 沼津はブロック形成に対してどう崩すかなかなか見えなかった。実況によると得点の3割ぐらいがクロスかららしいので中に侵入する、というよりも大外から上げてく形の方が得意そう。
    • そう思うと鳥取の守備が粘り強かったとも言える
  • そんな中、持井は一人色んな工夫をしようと動きを変えたり受ける位置を試していた印象
    • なんだけど次の受け手がいない、定位置過ぎてズレやスペースが生まれにくいので受けて一人でどうにか、というのも難しく鳥取の想定を超えたプレーは生まれなかった
  • 鳥取は前向きの選手をさっさと使う、前向きでサポートしてあげるという意識が強い
  • ただ、低い位置で奪ってからどう陣地を取り返すかが確立できていないので、押し込まれたときにどうひっくり返していくかで苦労しそうかな、と思ったり
  • これらは全てこの試合だけ見て考えてることなので、全然外れてる可能性もあります
  • もっとJ2,J3観たいなあと思ったしもっと海外サッカーも観ようと思いました
  • 最近どハマりするゲームに出会ってしまったのですが出来る限り観戦し、出来る限り書きます

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