26-27 J1第9節 柏vs神戸「神戸の中盤と柏の対策、人をどう捕まえるかという話」

2026年10月11日日曜日

26-27J1 ヴィッセル神戸 柏レイソル

t f B! P L


 1位と2位の直接対決、いわゆる6ポイントゲームとなったこの試合。


ボール保持を軸とする柏、大迫武藤といったターゲットを躊躇無く狙いながらも、状況に応じて保持も目指す万能型の神戸。

この試合は中断期間明けということもあり、それぞれ準備してきたことが見えたうえで見応えのある試合だったなということで書き残しておこうと思う。

神戸の攻め手と柏の対応

この試合の神戸は、かなり明確にロングボールを軸とした攻撃が目立っていた。

最後尾に4倍はしっかり並ぶのだが、その体勢からでも勝ち目があると見れば躊躇無くロングボールを入れてくる。ターゲットは最前線の大迫、右ワイドの武藤。

そこでマイボールになればそこから押し込む、跳ね返されてもセカンドボール勝負に持ち込んで展開を敵陣で作ろう、という狙いが強かったと思う。

ハーフコート近くまで前進出来てからは逆に最後尾+降りてくる井手口を利用しながら保持という形。低すぎる位置では保持をせず、陣地が押込めれば保持する、というリスクを減らしながら自分たちの時間を作る合理的な判断だと思う。

対して柏の守備。こちらは結構神戸用にカスタマイズされた部分もあっただろうなあと思うような動き。で、大前提としてCBはプレスにいけたらいく、ぐらいで基本は監視する意識。ここで持たれることをある程度許容していたと思う。実際、CBからのロングボールというのは完全に前方からくるため、比較的対処がしやすい。角度が付けばつくだけ難しくなる。

そのあとの追い方として普段の柏は、WBが出れるなら出て行きましょう、捕まえましょうという動きが多いが、この試合でその動きを主に行っていたのは久保。で、久保がそれを行う前提の追い方を小泉山内が見せる。

逆サイドの遠藤は、かなり武藤のポジショニングを気にしながら周囲を操ることで、とにかくストロングポイントを出させない。40分の神戸の保持なんかはかなり典型。

で、もう一つ目立っていたのは小西が最終ラインに入る形。これも40分の、神戸の保持攻撃から継続して見ると起こっているんだけど、戸嶋が人を捕まえにいったところを積極的に埋めて最後尾の人数を確保。

という動きをピッチ全体で見ると、こんな感じ。

ただ、これが常に行われていたわけではない。遠藤も高橋の位置までガンガンプレスにいくこともあるし、あるいはDHを一枚押し出して514的な配置で最終ラインをハメよう、というシーンも見られた。なのでルールとして説明するのは非常に難しそう。

そのうえで右肩上がりになりやすい理由としては、永戸が裏へ抜けたりロングボールのターゲットになるようなタイプではないため、戸嶋が強めに管理しやすかったのではないかな。同級生にこういうことを言うのは気が引けるが、身体能力でどうにかするタイプではないため武藤に比べればマークを強めにしても引っぺがされる確率は低かった。

チーム全体としておそらく気にしてたのは、古賀が競ったときに周りが助けられる配置であること、武藤をフリーにしすぎないこと、いつロングボールを蹴られても良い体勢を持つこと、だと思う。

それに加えて今までと違う点として、3CBが積極的にマークを持つ動きを見せていたこと。今まではカバーを取りすぎて圧力が落ちるシーンがあったが、この試合では杉岡戸嶋が積極的にマークの受け渡しを促して自分が見る、というのが見られた。だから中盤が押し込まれ過ぎなかった、というのは大きい。遠藤が前にプレスをかけたシーンでは必ず杉岡が武藤を管理している。

また柏の守り方が成立する一つの理由として、神戸の中盤がやや空洞化する傾向があった、と私は思っている。

井手口は押し込んだ時に引きながらボールを引き取るし、大外はロングボールを待つために横幅を確保する。大迫はターゲットとして、エリキは裏抜けを狙って、それぞれ最前線に立つ。

となれば、酒井が一枚となる。ただこれは別に問題ではなくて、どこにでもロングボールを蹴れるよ、蹴ったら周辺に人がいてほしいよ、という前提の配置だと思う。それに対応するように、普段の並びを多少崩してでも人数をそろえる意識があったんじゃないかと。

柏の攻撃と神戸のブロックについて

立場を逆にして、柏の保持に対する神戸の守り方。

神戸は424気味の配置、ただし全部追い掛け回すのではなくチャンスを見極めながらというミドルブロック。

ただこの試合では、ライン間の管理がちょっと曖昧だったかな、というのは目についたところ。

424でしっかり構えていても小西中川にボールがしっかり届いてしまう、だから小泉がポジションを下げずに高い位置を保てる、というのはこの試合の一つ大きな柏の優位性だった。
そこに届けられる理由として、この試合独自の取り組みというほどでもないが、とにかくローテーションが行える、というのが大きい。特に右サイド、馬場戸嶋がいた右CBは久保が降りてくれば内側へ、久保がポケットを取りに行くなら大外へとレーンがかぶらないような移動が出来る、かつ内側でボールを持っても遜色なくプレー選択が出来る。

加えて、この試合でよりアンカー的タスクをこなせていたのが小西。ロングキックで左右に振る、必要に応じて古賀の横へ降りてローテーションをスタートさせる、というタスクをしっかりこなせていた。これが出来ていないときの柏は小泉が最終ラインまで落ちるため受け手として動けないのだが、高い位置をキープできたのが非常に大きい。

なので神戸としてはどこで奪うのか、だれがライン間の人間を見るのか、が追い付かないまま配置だけ綺麗になってしまい、隙間隙間を通されるシーンが結構多かったかなと。圧縮すれば小西のサイドチェンジが飛んでくるのも悩みの種。

そして言及しないといけないのが藤尾。多少理不尽なボールでもしっかりと背負える、ボールを持ったら突破も狙える、というプレーの幅の広さのおかげで柏は追い込まれても時間と陣地を作ることが何度も出来ていた。偉いのが、頭で競るボールではなく裏へ走るか、胸より下で処理できるボールがほとんどだったこと。高さではなく速さと体の強さを生かせるボールを供給することで、藤尾はやりやすかったと思う。

変化したこと、変化しなかったこと


後半になると、柏はよりCBが人を捕まえる傾向に。ただし遠藤の自重はそこまで変わらず。

神戸は永戸に変えてパトリッキを投入。より個での突破やチャンス創出に軸を振る。ただし、パトリッキになっても変わらず戸嶋はタイトな管理。で、その管理からボールを奪って一気にカウンターで二点目。

この直前にも、ほぼ同じ形でパトリッキを潰していた戸嶋、おそらくだけどスピードに乗る前に潰す、というイメージは持っていた気がする。ファーストタッチのところに焦点を当て、そこで勝負できる距離感をずっと狙っているのかな、みたいな。

で、ここまで見て改めて考えると、とにかく大迫武藤パトリッキの管理を誰かはっきりしましょう、出来るならCBが拾ってあげて、引きすぎないようにしましょう、が大きなテーマだったのかもしれない。

決めた山内は、ゴールさえついてくれば評価が一変するはずだと個人的に思っていたので非常に嬉しい。運動量豊富、守備強度も推進力も文句なし、あとはゴールという数字さえ出てくれれば、と思っていた。

そこからも大勢は変わらず、柏が人の管理を慎重に進めながら前への圧を弱めない展開。なので5バックからの押し出し臨時4バックも頻繁に見られたし、右肩上がりの傾向は消えどちらでもいけるならいけ、という雰囲気に。余裕があれば514や424気味に構えたうえで、小泉がとにかく背中で中盤を消しながらサイドへ追いやり、そこからの無理筋なパスを回収、これによって神戸は更に自分たちの時間が作れない。

 中盤の空洞化に対して柏がそこを突くように大外へ大外へ追い込むことへのカウンタープレーがなかなか出せなかったため、交代としてカエターノ、岩本あたりが選ばれた気はしている。78分のライン間で引き取って前を向いた岩本のプレーが要求されていたことなんだろうなという。あのプレーは424や514気味に構える柏にとっては泣き所なのでもっと早い時間から使えればよかった気はする。

一方で自分たちの時間を増やすためにその二人、瞬間火力を上げるための小松起用がピタリ的中で点を返し、復活の雰囲気を作った神戸。なんだけど最後まで柏が人の管理とリスク調整をやり切った。

神戸としては、最後までライン間をローテーション気味に攻略する柏を捕まえきれなかった、人の管理がうまく行かなかったのは悔やまれるところ。そこの強度が高い印象のチームだからこそ、思ってる以上にパスが通せるな・・・というのがリアルタイムで見た感想だったし、見返してみても苦しんだ部分だった。


戸嶋について

さすがに触れざるを得ない、戸嶋について。

守備が圧巻だったのはもう満場一致だと思う。素晴らしかったのが、文中でも触れたがスピード勝負に持ち込ませないバトルをしたこと。加速する瞬間に勝負をかけて前向きで奪う勝負勘みたいなところが研ぎ澄まされていた。

それに加え、2度にわたるチームを救ったカバー、そこを怠らず走り切れるメンタル。

個人的には馬場をべた褒めしていたので、ケガしたときは相当な絶望感と落ち込みだったんだけど。

で、個人的に触れたいのは配球も明らかに良くなってる、というところ。我が家の視聴環境では天皇杯が見れないので、今シーズンのプレーを見るのは実質初めてなんだけど、単純に前向きで持った時の選択スピードと質が格段に向上していたと思う。

動いている味方に対して怯えずにつける、そのあと動きなおして引き出す、というパスワークへの関わり方は百年構想リーグでも積極的にチャレンジしていて、徐々に良くなっているのは見ていたがここまで仕上がったか、というぐらい。

それに加えて、右CBであれば運動量を生かした追い越しも戸嶋と相性がいいし、小西が最終ラインを埋める形で残ることで、レジスタとして前向きにバンバン配球できる、という形も今節見れた。

凄かったのは守備だけじゃなくて、攻撃時の判断もだよ、というお話でした。

あと永井にもどうしても触れたい。控えのキーパーというのはとんでもなく大変で、それでもいつも明るくムードメーカーで、かつ緊急の出番でばっちり質の高いプレーができる、というありがたさ。勇気を持った飛び出し良し、パントキックのチャンスメイクあり、とこちらも安心感あるプレーでとても良かった。


その他気になった点、見どころポイント

  • 58分、小泉が小西に対して下がれのジェスチャー。小西は酒井を管理しようとしていたが、俺が背中で消してるから、ということ。そのあと久保にも似たような指示。これを小泉はよくやるんだけど、背後の相手も味方も把握したうえで数秒後の予測に伴って指示を出せる、脳みそのキャパシティが理解不能。将棋やればこうなるのか。
  • 61分の、大迫に対して体をぶつけさせない古賀の対応、古武術みたい
  • 神戸は郷家の有無で、中盤の時間作りが変わっちゃうのかもしれない。ただライン間の人の管理はもう少し出来たと思う。
  • ジエゴのロングスローは怖い。両サイド連続で投げるのは疲れそうだけど武器だねえ
  • 大迫以外の前線はもう少しボールを引き出しても面白そうだけど、この試合はだいぶ硬直しちゃってたかなと。動きがないわけではないけど、誰が管理するか柏が迷うところまで作れなかった。
  • であれば、酒井井手口の超セカンドボール回収大作戦に割り振ってもよかった説はある
  • スタッツを見ると、支配率自体は神戸が52%と上回っている。ただ最終ラインで持たされたところの数字なので支配率って難しいね。
  • あとすごく単純に、大迫目掛けたボールの質がこの日は全体的にちょっと怪しかった。短すぎて中盤に引っ掛かったり。大迫が真っ向勝負できる回数自体がそれで減った印象も強い。
  • 神戸の手詰まり感は、広島がうまく行ってなかった時期とちょっと似た印象があった。縦に早くしたいんだけど配置とかみ合わず、逆に後ろが持たされて迷う、みたいな。
  • 柏は怪我人が続出で嫌な感じ。戸嶋永井のように、新たなヒーローが出てくるかどうか。でも出てくるのがノってるチームだし総合力が出る部分だから期待したい。

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