この試合は現地で見てました。日差しが予想以上に強く、今現在顔と腕と首筋がヒリヒリ痛いです。
あ、今日はエディスタです。寿人が来てる模様。 pic.twitter.com/I8p6fk46Uj
— 山田有宇太 (@Grappler_yamayu) April 22, 2023
ということで、この試合を改めて映像を流し見しながらレビューしていこうと思います。
繰り返された東京のショートカウンター回避
試合全体の流れで言えば、開始直後からFC東京の方向性は割りと明白だった。
キックオフ直後のCB間を狙ったロングボールによる裏取り、3分に見える荒木vsオリヴェイラで起点を作る形。
この起点から得たFKを中村が頭で合わせて東京が先制。
このゴールはシンプルにゾーンで守る広島守備陣の隙間に質の高いボールが供給されたことが大きい。もちろん中村の高さも驚異。
川村と東の間という、どちらも守備が本職と言えない選手の隙間だったことは辛い。
余談だが、中村はポテンシャルが非常に高く良い選手なだけに、ラフ気味なプレーがもったいないなと思うことが多いので是非クセを矯正して欲しいななんて思ったりする。横浜の上島も同様。
試合を通して繰り返されたのは、東京が列落ちしてパスコースを作り、それに対して徹底的について行く広島という構図。
広島はスタートポジションこそ厳密だが、プレスをかけると決まったところからは前へ前へとマークを押し出す。
これに対し、東京は前線が降りてきて組立を助けてプレス回避を試みたり、オリヴェイラに一発で打ち込んでみたりと様々な工夫を見せていたが一番広島が苦しんだのは横幅隊の位置取りだと思う。
最前線で横幅を取るのではなく、やや低い位置で立ち止まる東京の横幅隊。
ここに対して広島はいつも通りWBを押し出して対応。更に助けに降りてくる東京に対してゴリゴリとはめ込みに行く。
そうすると、実質4バック気味な構えに変化していく。
で、なおも助けに東京が降りる、当然はめる広島。
そうすると結果的に、中央二枚のみお互いに居る配置になり、ここに東京は人を走らせる。
広島は荒木が走ったりDMFが頑張って戻ったりと、対応に四苦八苦していた。
意図はこちらから分かるわけではないが、東京の攻め手は
- 早めの段階でオリヴェイラと荒木が勝負する、ヘディングのボールよりも背負うようなボール
- なるべく安全なパスを引き出すべく列落ちで助けながら、広島がついていくことで空くスペースを利用した裏取り
この二つのメリットは、広島のショートカウンターを抑えられること。
というより、ショートカウンターに繋がるような失い方が避けられる。
広島としてはお得意の形がなかなか出せず苦しい展開。
逆に非保持時は自陣からクリーンに前進するのが決して得意ではない広島に対して前線から積極的にプレスをかける東京。
構図だけで言えばお互い前プレをかけあうという展開だが、東京は前プレに対して意志を統一して回避出来るのに対して広島は苦しんだ印象。
森島、満田、ナッシムが積極的に裏へ走るがなかなか苦しい。
おそらく原因は、両横CBとWBの関係が整理しきれない点かと推測する。
広島はボール保持時、両横CBが前進の第一歩を担う。荒木はシンプルに横へはたくことが多く、佐々木と塩谷が最初の前進担当に近い形。
ここに対して、WBがパスコースを作ろうと引く形になってしまうと、むしろ窮屈になってしまう。
距離を近付ければ確かにパスコースは出来やすいが、
・二度追いしやすい
・浮き球パスが難易度上がるため背中で消しながらプレスをかけやすい
という点があり、守備陣としてはしてやったりになりがち。そこが広島はなかなか前半整理出来ずスペースを得られなかった。
後半になって広島がWBの幅を活かして崩すトライが出来てきたのは、ここの距離関係が整った部分があるんじゃないかとちょっと思っている。
相手が付いてくるのを利用する意識の強い東京、なかなか利用しきれない広島。
それに加えて、オリヴェイラという絶対的飛び道具の優位性が光る東京は、比較的ゲームプラン通りだったと思う。
突きつけた二つ目の課題
後半は先述したWBの立ち位置が整ったこと、ナッシムに変えてより動的に起点を作ることに長けたドウグラスを起用したことでリズムを戻しにかかる広島。
ちょっと余談だが川村へのイエロー、現地で見ててよく分からなかったし広島側が超怒ってたけどぶっちゃけ妥当かなとと思う。
確かにファウルを受けた後ではあるがかなり強引に、しかも足裏を見せ筒のタックルになってしまったので致し方ないのかなあというところか。
広島としては互角な戦いに持ち込むも点が取れないというか、シュート一歩手前で崩しきれない形が続く。
東京は前プレをある程度継続しつつ、状況に応じてブロック形成に切り替えながら徐々にその比率を変えることで手堅くゲームを進行させていく、おおよそ見込み通りの展開。
ここから広島は二つ目の課題に直面することになる。
それが「ボールを持たされたときどうする問題」である。
東京は試合が進むにつれ、守備の基準を明確にしていく。
簡単に言えば、サイド二枚に徹底抗戦、その後ろは放置という基準。
現在の広島において、ドリブラーと言えるサイドプレイヤーは案外いない。
途中から入ったエゼキエウが該当するぐらいで、他はマルチプレイヤーに近い。
そのため、2vs2の同数で守ると突破はなかなか難しく、またそこからやり直したときの崩しパターンがなかなか構築出来なかった。
塩谷は変化を付けるべく運んだり引きつけたりと試行錯誤するもあと一歩のところが及ばず。
佐々木サイドはより攻め手の見つからない膠着状態に。再三のクロスも実らず、一点差を逃げ切った東京が勝ち点3を得る結果となった。
アドリブ重視の広島が払う代償
スキッベ監督以降の広島は、インテンシティ高いはめ込み守備とショートカウンター、それを成立させる3バックの対人強度と満田を筆頭とする運動量で好成績を残している。
そこに対して
①中盤をあまり使わない
②安全なパスで相手を引き出して裏へ走らせる
③いざとなったらボールを持たせて固く守る
という手順を踏みながら対策しきった東京の試合運びが光ったように見えた。
また、広島は2CHを構成する川村野津田共に動的なプレイヤーであり、それがこの試合では切り替えの局面において安定感を失う要因になった部分が痛い。保持時にも存在感を出せず、広島の前身がほぼほぼ外外循環になったのも苦しかった一因だろう。
とはいえこれだけの強度で結果を残すには彼らの機動力が必須だったであろう事やバランス型の中盤で守備強度を出せる選手が控えメンバー含めて見つからないというのは今後狙い撃ちされる可能性を感じる。
広島の先制点は川村の機動力からロングカウンターを成立させたので、ここはトレードオフと言って良いかもしれない。
東京は正直順位と釣り合わないような勝ち方だったと思う。
もちろん広島にも充分かつチャンスの有る試合だったが、チームとしてブレを見せずに試合をコントロールしきったという点は大きな自信になるのでは。
ハンドボール的守備の東京
一方で今シーズンよく見る「FC東京が荒い」という意見もちょっと分かる内容ではあった。
見てて思い出したのは、ハンドボールの守備。
ハンドボールは基本的にファウルで止める守備で試合が進んでいくのだが、それに似た感覚。
ちょっとでも怪しくなりそうな場面はファウル覚悟気味で止めるという基準なのかそもそもトレーニングから激し目の接触が多いのかは不明だが、試合を通すとそんな事象が多かった。
一方で深い位置でのファウルには充分警戒している印象だったのも、それを彷彿とさせた理由。
もちろんルールがしっかり適応されているのだからずるでも何でも無いが、心証悪いと言われても頷けちゃうのはちょっとある。これは是非と言うより好みの問題。
勝ちに徹するのが好きな筆者としては審判との相性や怪我さえなければという漢字。
というか強くない?FC東京
あと大事な局面で絶対に強度を失わない、というのがチームで徹底されているのはソリッドな集団だなあと。中村、松木あたりの強度はかなり目を引く強さ。
とはいえこのチームの大黒柱は多大なるタスクを背負いながら決定的な仕事まで出来るオリヴェイラがちょっと強すぎる。
空中戦においては荒木もかなり奮闘していたが、ヘディングではなく背負って収めるようなボールを供給したらほぼマイボールになる。
SBから斜めのグラインダーパスを引き出す、裏も取る、ドリブルの推進力もあるという万能性はやはりJ1でもトップオブトップ。
困ったときのボール供給先という点で展開が大きく変わった、とも言えるなあなんて。
他の試合をあまり観れていないので、何故この順位なのかちょっと分からないがベストメンバーで望める試合に関してはかなり力がありそうだなあと痛感した試合でした。
その他雑感
・広島の越道は推進力があるしドリブルのコースを外にも内にも取れるのは凄い。
・松木のファウルをするしないの判断が的確。
・広島の守りたい形、奪いたい形を出させないというのは一つ攻略法になる?
・
0 件のコメント:
コメントを投稿