2024 J1 第3節 磐田vs柏 ざっくりレビュー

2024年3月11日月曜日

2024J1 ジュビロ磐田 マッチレビュー 柏レイソル

t f B! P L

愛する我が柏レイソルが好調である。嬉しい。


そろそろちゃんと柏の試合も書かねば、ということで今回は磐田柏戦を。


昇格組ながら川崎ととんでも乱打戦を繰り広げ勝ち切った磐田。ジャーメインは流経大柏の1個下で割と高校時代から名前はよく聞いていたなあというイメージ。


対する柏は井原体制2年目、なんだけどオフからしっかりトレーニングできるのは初なのでどんなチャレンジをするか見守りたいなと思っている今シーズン。


守備の強度を保ちつつ、保持にもチャレンジする様子が窺えるここまでの試合、の中で今節どうなるかという。


並びは互いに4231系。


最前線は細谷、ジャメという互いにスピードパワーでなんとかできるタイプ。


開始後しばらくは磐田が押し込みがちな展開。ジャメが前線から降りつつ起点を作ってレイオフからサイドを横断するようにボールを動かした7分辺りの攻撃は良かったと思いつつ、そこに至る前にゴールキックから繋ぐ場面では割とピーキーなつなぎだなという印象も受ける。


これだけしっかり繋ぐチャレンジに対し、齢40にして超久々のJリーグを戦う川島がどこまで貢献できるかというのも個人的に楽しみな点であった。


一方の柏はサヴィオという明確なチャンスメイカーが居るのはもちろんなのだが個人的に注目したいのは今季からがっちりスタメンを掴みつつある小屋松。
運動量と穴のないスキルの高さで潤滑油としても水を運ぶ人としてものびのびプレーできている。
またボール保持へのチャレンジにより高嶺の能力が前季より発揮されやすいのも注目かなと言うところ。


柏の攻撃で目を引いたのは16分、山田が横幅を確保したところで空いた内側のレーンに対し関根が突撃していったところ。
柏は基本的に取れるのであればSBが幅を取りSHは内側の攻略を目指すのだが、こういった配置や役割の相互性があると相手にどんどん選択肢を突きつけられるので非常に良いと思う。
まだ大学生ながらがつがつ試合に使われる関根はシーズン内で成長が見られそうでよろし。


磐田は対照的というか、SHがしっかり横幅隊として機能しようとしっかり開くことで柏のSHに負荷をかけることが出来ている。
トップ下もどんどん裏を狙ってくるし、ボールホルダーが良い状況だったときに前線のアクション量が豊富っぽいなあと思わせる動き出しがある。特に磐田の山田はここらへんの動き出しがマジで上手い。
柏のCBがジャメに引っ張られれば落ちてきて起点になる。裏を取れそうなら裏に走る。ここの判断の質が高い。
19分のロングフィードを胸で収めたシーンは象徴的。


どっちも守備時は442配置になる、そうするとCBがぴったり捕まってやりにくい、ということで互いに後ろ3枚にして前進するシーンがちょこちょこ出てくるシーンも見られる。


先制は柏。風が相当強いのを見越して曲げたボールが良かったなと思いつつ、マンツーなのかゾーンなのか煮え切らない対応になってしまった磐田かもしれない。
なお古賀はJ1初ゴールなのだが、そもそも以前は対カウンター要員でCK時に上がってなかったというのもある。


先の後ろが3枚になるという話、磐田は中村が積極的に落ちることで山田をつり出そうとする。ただ柏はあまり人を捕まえにいかず、どちらかというと立ち位置で守るような判断をしたため効果が今ひとつというシーンが目立つ。


柏のフリーキック、右から蹴るときは絶対にジエゴへというルールが面白い。どうしてもマッチアップはSBになるので遙か昔のマンジュキッチ大作戦じゃないけど、勝ちがだいぶ計算できる競り合いを作り出してるなと。
これは逆でも関根が競れるし、控えにも片山がいるためこうしてみるとSBデカいんだなとふと思った。


後半に入ると共に、磐田は山田が下がってペイショット。より高さで殴れる雰囲気に。


後半開始早々磐田の保持チャレンジをプレスで引っかける柏。磐田は単純にSBにつけちゃうと完全にはまるのでなんとか前線に当てるか最終ラインで時間を作ってからSBに渡したいんだけど、このシーンはほぼ工夫なく付けてしまった。


ただこういうシーンはだいぶ少なく、なにか一手間加えてから渡したりSBが絞り気味で受ける事でアングルを確保したりとSBを逃げ場にしない保持はだいぶ形が出来ていそう。
ただ柏としても前半の磐田がどんな立ち振る舞いをするかを見た結果として「基本的な守備の構えはCBに戻させればOK、追い込める確信があればCBへ圧をかけて奪いに行く」という立ち位置をしていたので、そういった意味で柏の想定を超える保持前進はなかなか見せる場面が少なかった。
あとゴールキックはわかりやすく狙われていたイメージが強い。


小屋松はシュートさえ枠に行けばというシーンが多くてうーーん頑張れ!という気持ち。


後半半ばぐらいは磐田がそれまでより陣地を押し込みながら戦えてるんだけど、この時の磐田は丁寧な保持というより多少成功率が低くても前線にボールを差し込んでいこうというプレーが比較的多め。
ペイショットの能力を踏まえても、柏としてはガサツに前進された方がやりにくかったかもしれない。


最後は力業でなんとか押し込もうという磐田に対し、とにかく忍耐で耐えつつちょっとでもチャンスがあれば木下の高さとサヴィオの上手さ+運動量、それに加えて山本が背負うプレーに関して素晴らしい強さを見せることで陣地回復しつつ凌ぎきった柏が逃げ切り。

磐田の雑感


正直に言えば柏の対応に対して後手に回った印象がある。


前半に見せた早めにジャメに当てるor山田が引き出す形と両者が上手く裏を狙う形、そこにSHが絡む前線アクション多めでそこを早く使っていくアタックはなかなか可能性を感じた。
だが柏がそれに対して中盤のスペース圧縮気味の守備になると二の矢が撃ちきれなかった。


交代でペイショットを入れることでジャメと縦並びを形成するも、そもそも使うスペースを消されている上に山田が頑張っていたトランジション部分がむしろ不利になりぎみなのもあり、思うように形を作れず。


ある程度開き直り+残り時間との兼ね合いで前線に急ぐようになった終盤も、たよりのペイショットがあまりコンディション良くないのかマイボールにしきれずふわっとしてしまったかなと。


保持したいのかさっさと前線に入れるのか、という二者択一ではなく有効な方を打とうぜ!というのを目指したそうではあるが柏の守備スイッチ入ってからのスピードに対しそこが噛み合わせきれず、ピッチ上の修正でもちょっとずつ遅れを取った印象。


それでもチャンスになりかける形は充分に数を生み出したし、1本でも決まっていればという気持ちがある反面、完全クリーンで打てたシュートがそこまで多くなく最終的にはスーパーセーブではなくDFにしっかり寄せられてブロックに合っているのであくまでも柏の想定内の攻撃が多かったのでは無いかと思う。


あとは高嶺、落ちてくるサヴィオ→ジエゴラインのところを限定しきれず、柏がある程度思うようにボールを動かせる場面を作りすぎてしまった印象はある。
前からいけるときはプレスかけたいんだがレイオフをさらっとやらせてしまう、みたいな。


総合してどうしても帯に短し襷に長し、上手いこと行けばスライムみたいに万能なんだが全部ちょっとずつ勝てない、みたいな切なさを感じる試合になったかなと思う。
ただ前線のアクション量自体は質が高そうなので、そこにどれだけ出し手が反応していけるか、+1のサポートを保証できるか次第で中身が変わってきそうだなと思いました。


柏の雑感


保持に挑戦しているのももちろんそうなのだが、この試合で最も目を引いたのはプレスのタイミングが綺麗に共有されていたこと。


どのタイミングで強度高いプレスをスタートするのか、それに対して後ろがどれだけ押し出して人を捕まえるか、という点でこの試合はかなり出来がよく見えた。特に後半以降のある程度構える姿勢にしてからはそれが顕著に。


あと攻撃に関しては昨シーズン片鱗を魅せていた高嶺の本領がどんどん発揮されてきている。
しっかりとボールを引き出し、テンポも踏まえてチームを導きながら気を利かせる姿は去年よりもサッカーを謳歌しているように見えて個人的に嬉しいポイント。


また以前は引いて受けるも裏に走るもひたすら細谷勝負orサイドからサヴィオ爆走だったところを小屋松が引き受けられるのが頼もしい。細谷サヴィオの負荷を下げつつ、後ろのボール回しに対してもしっかりパスを引き出す。
非保持になれば2トップ気味に構えながらプレスのスイッチを間違うことなくオンオフするという素晴らしい働き、これでシュートが1本でも決まっていれば間違いなくスターだった。


ジャメのパワーに押されたり、ジエゴの人に食いつく守備を利用されたりという場面も少なからずあったがとにかく最後のシュートを打たれる瞬間まで頑張る、という強度の高さが報われたような試合だし、逆に言えばPA内に侵入される回数はちょっと多すぎたとも言える。
古賀犬飼とどちらも決してスピードに自信があるタイプではないため、どうしてもやや受け気味な守備から最後で守るという形にはなりやすのだがなんとか耐え切れて一安心。


SBが剥がされるかつり出されたときにCBが出て行けないシーンがちょいちょい見えたので、ここをCHが頑張るのかCBが出張するのか今後整理されると良いなとちょっと思う。
ジエゴは強気な守備をするだけに避けては通れない道。これがとにかく最後に止めれば良いという意識で統一されているのか、なんとか最後で踏ん張れてるだけなのかは今後試されるときが来ると思うので楽しみでもある。


攻撃ではストロングポイントであるジエゴサヴィオの左ユニットが攻め上がったスペースを磐田に上手く利用されるシーンも割と再現されていたので、ここはとにかく古賀が頑張るしかない。
あとは白井がどれだけ守備でここを助けられるかに尽きる、このユニット自体は理不尽前進出来るしペナ角アタックも上手なので、守備を支えつつ起用していくのは変わらないんじゃないかな。


その他


磐田の襟が可愛くていいなと思ったし、川島が妙に似合ってて笑いました。


磐田としては守備の強度が微妙なら殴り勝てる(川崎)、けどしっかり構えられると崩しきれないという部分と今後どう向き合うか、あと保持とダイレクトアタックの判断基準をどう設定していくか気になるので出来れば今後も見てみたい。


柏はようやく井原さんがやりたいことをピッチ上で見せつつ現実的な対応もスピーディーに行われていて手応え抜群そう。交代カードも松村木下は安定して長所を出せているので腐らず頑張ってほしい。


とはいえメンバーが固まってきているので、是非ベンチメンバーからの突き上げを見せてスタメンどうなるんだろうと悩むようになってくれたら良いなと思ってます。

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