EURO 2024 グループB第1節 スペインvsクロアチア「事前情報0のときどうやって観戦してます?僕は根性!」

2024年6月16日日曜日

EURO2024 クロアチア代表 スペイン代表

t f B! P L



ここ数年、全くといっていいほどヨーロッパサッカーを見ていなかった。

なので、事前情報がほとんどないままEURO2024を迎えることに。

どの国が普段どんな配置でプレーしているか、というところ以前にどんな選手が代表にいるのかすら良く把握できておらず、下手すれば戦術のトレンドも文章や記事を読んではいるが実際に視認している自信はない!というところ。

ただ、今回のEUROはアーカイブ化計画が走っている。

以下記事は私が運営している別のブログだが、今回のEUROアーカイブ化計画とその活用法、過去の様々なマッチレビューが収納されている狂気のサイトを紹介している。

良かったら読んでみてほしい。

EURO2024を使ってサッカーを勉強してみよう(アーカイブ化計画の紹介)

ヨーロッパサッカーに関しては自分より詳しい人が沢山いるだろうし、ちゃんと準備をしてレビューを書く人も多いはず。

ということで、私はあえて事前準備0で見ることにした。というかこの記事に書いたような過程を踏みながら書いてみることにした。

なんにも分からない状態からどうやって試合を観戦するのか、という過程も踏まえて書いてみようと思う。なので、リアルタイムに見ながら書く形を取った。結果もスタメンも全く知らない状態から。

初めてやるスタイルなので面白くなかったらごめんなさい。

Abemaで得た事前情報

  • スペインは433
  • やばい、本当に選手名が全然分からない、モラタは知っている
  • 私にとって一番なじみ深い名前、主審のマイケルオリバーかもしれない
  • クロアチアも433
  • クロアチアの方が知ってる選手多いな
  • モドリッチは不老不死
  • いわゆる「死のグループ」が今回はBグループ

立ち上がり、何を見る


まず最初に私が見るのは、やっぱり配置。
いわゆるフォーメーションと呼ばれるものだが、最近は攻撃と守備で並びを変えるのもしょっちゅうだし、事前に出てくる情報だけでは役割とかデザインが分からない。

なので最初に、大雑把な初期配置と人数を見るようにしている。

この試合でいえば0:35ぐらいのスペインは235で配置されていることが見やすい。

一方のクロアチアは4141気味に構えていながら、積極的に人を捕まえたり背中でパスコースを切りながらボールへの圧を高めようという構え。
いわゆるハイプレスとはちょっと違い、チャンスがあればタイミングを合わせてという形と言えば良いか。

ここら辺ちょっと上手く伝わるか分からないが、433と4141はそこまで変わらないというか、WGの高さ次第でどっちとも言えるので個人的には同種に考えることが多い。


あとは最前線のプレスが何枚でかけるのか、誰がどのポジションを捕まえるかで考える。

今回でいえばスペインの235にクロアチアがどう守備するかで、433か4141か記載する方を決める、ぐらいの気持ち。

ここから考えると守備時はスペイン4231、クロアチア4141と考えるのがよさそうかな、というところ。

で、実際にお互いの攻撃と守備の噛み合いを意識して見るのだが、ここで戦術ボードなどを手元に置いておくとイメージが掴みやすい。

スペイン保持時の基本配置。


まずは何も考えずに、ざっくりお互いの攻守の配置を並べてみる。

そうすると、「クロアチアのアンカーは誰を見るのか」「前線5枚の並びに対して後ろ4枚でどう対応するか」「最前線は1枚で制限だけするのか、インサイドハーフ押し出していくのか」といくつか対応の択が想像できる。

ピッチ上で何が起きているのか、こういった図を置きつつ見ていくと、基本的な配置からどこを変化させているのかというのが分かりやすくなる。

例えば3:50のスペインの保持を見ると、クロアチアはインサイドハーフが飛び出してスペインのCBに対してプレスをかけにいった。

だが本来の持ち場にいた選手を管理しきれず、SB経由で逆に利用されている。


背中でパスコースを消しながらプレスをかけ、数的同数に持ち込もうとしたのだがSBを経由することで回避しながら前進出来た、というシーン。

このシーンが大事、というよりもこういう場面をいくつか観測しながら、どうやって選手が動くのか、なぜ上手くいったのかなぜ上手く行かないのかの理由を考えるというのが私なりの試合の見方、という解説でした。

ちなみにここまででまだ前半4分なので、書きながらちょっと先が思いやられる。

前半


6分、ゴールキックからの保持前進を目指すクロアチアに対してごりごりプレスをかけるスペイン。
逆サイドのSBを捨てCB1枚余り、残りは全員マークを捕まえるという形。

その直後にもガンガンプレスをかけている。思ってたよりだいぶボールを持たせないという意志が強い。とにかく自分たちがボールを持つんだ!

一方スペインの保持をそう簡単に限定は出来ないクロアチア。

モドリッチは出来れば4132みたいな形にして少しでもボールに圧をかけようと積極的に押し出すが、モドリッチのいたスペースを活用されシャトルランになってしまうシーンが。

15分ぐらいからはだんだんクロアチアもボールを保持する局面が出てくる。

元々は後ろ2CB、アンカーにブロゾビッチという配置でスペインのブロゾビッチが張り付かれていたところを、列降りして3241に近い形に変化させるシーンが特に目立つ。

前に守備陣を押し出して同数ではめていく、という行為に対して「何人まで押し出します?降りていっても付いてきます?」と相手守備に対して問いを出すのが列降りという行為の持つ意味。ついてこなければフリーが出来るし、付いてくるなら前線がよりスペースが空いたり同数になってロングボールが有効になりやすかったり。

これによってスペインの守備体型はブロゾビッチのケアをするべく442気味の並びになり、若干中盤のスペースが広がり気味に。ブロゾビッチのケアを任されたペドロはついていくかどうかの判断を毎回迫られる。

人に付かずに構えようかという空気を見せれば、20分にクロアチアが作り出したチャンスのように隙間のスペースからあっさりとチャンスまで持って行くことも出来る。

その直後のように、逆にプレス強度を高めても運びとポジションチェンジを繰り返しながら中盤を空洞化させバイタルエリアにフリーな選手を作ることが出来る。

この数分で、クロアチアは保持しながらの崩しは構えられてもプレスかけられてもゴールを目指せるんだぜ、という空気を見せ付けた。


ちょっと前まではスペインの2CBに対していくかいかないか曖昧だったクロアチアだが、ブルゾビッチが前へずれることでCHがCBへプレスにいけるように。お互いに前プレをどうやって合わせていくか模索する。

そんな中の先制点はスペイン。
クロアチアの保持でスペインの守備陣を引き出し、前線同数のところにロングボールで強襲をかけたが奪ったスペインが中央を一発で切り裂くスルーパス。

スペインの守備陣を前へ引きずり出すところまでは面白かったが、その分奪われた瞬間のクロアチア最終ラインが完全に数的不利に。ラストパスの瞬間は2CBに対して綺麗に3枚がマークを外した形だった上で、真ん中を完璧に通した。

前線とバックラインを分断したクロアチアだったが、ラインを押し上げる際にリスク管理の人数を確保できなかった、と言えば良いかしらね。


ただ失点直後にいきなりシュートまで持ち込む辺り、メンタルの強さが見えて良いなあと思った。


慈悲のないスペインは数分後に追加点。

カウンターを一度止め、しっかり人数を揃えて守ろうと構えたクロアチアの、小さいバイタルエリア。そこで受け、二度のキックフェイントから一人でシュートまで持ち込んだファビアン・ルイスの個人技がもう素晴らしい。

「トメルケール」という言葉はネタにされがちなんだけど、狭いスペースでもフリーだと感じてボールを受け、プレーできるのは間違いなく技術がないとできないし、ただただ上手いしか言えないゴールでした。


しかし相変わらず失点直後に決定機を作るクロアチア。心が強い。

ゴリゴリと前プレスをかけるスペインに対して、それでも簡単にロングボールを蹴ることなく前進を決めていくクロアチアが凄い。
ここら辺は配置だ噛み合わせだ、というよりも一人一人の賢さが見える。
保持者がちょっとでも運んでパスコースを生み出したり、引きつけることで次の受け手にスペースと時間を渡したり。

つい数時間前に全く保持前進が上手く行かない柏レイソルを見ていた筆者にとっては心が辛い。

スペインは最初の高強度プレスが剥がされて運ばれたら、構えて守る。全部を全部追い回すのではなく、強度の切り替えが綺麗に全員揃うのが当たり前なことではあるんだが美しい。


前半終了直前にはスペインがクロスから3点目。

カルバハルの裏から入り込む動きとヤマルの高い質のクロス。
出し手と受け手の質が高ければ、キーパーの前というセオリー通りのプレーでもこれだけ綺麗に決まるのだなと。

点差ほど内容に差が無いな、と思いながら3-0というリードをスペインが奪い前半が終わる。

前半総括


まーーー両チームとも上手い。

ただスペインはとにかく配置を崩しすぎず、235の強みを押し付けるような保持。多くの選手が列降りするのではなく、最低限の人数でなんとかしながら前を活かす。

一方のクロアチアはコバチッチ・モドリッチ・ブロゾビッチがめちゃうまクレバーではあるのだが、どうしてもアドリブメインというか多少難しいところを属人的に通しているなという印象がある。

ただ決定機の数だけでいえばクロアチアは決して負けていない。

それでもスペインが強いのは、チーム内での判断のブレが本当に見当たらないところ。
プレスをどの強度でかけるのか、今は引いて守るのか。
保持は落ち着かせるのか、スピードを上げるのか。

ここの判断は仕込みや教育というより、一人一人に高いIQが備わってるから出来ている部分もあるんだろうなあと思う。

ワールドカップとかでクロアチアを見たときに感じたのが「掴み所無く何でも出来る」というイメージだったのだが、それは属人的な構造によるアドリブから感じる部分だったのかもしれない。

クロアチアは保持を超頑張っていたものの、どう守るねんというのが探しきれなかった印象が強い。前プレをかけたいという欲が垣間見えるものの、そこまで徹底できず、判断もスペインほど綺麗に共有できていないかなと。

あとは宇内シモンをどう破るか、という難しい課題。

前半見ての後半予想


今回のレビューはリアルタイムに見ながら書いているので、あえて後半を見ていない状態で予想をざっくり書いてみる

  • 大枠の展開は変わらないと思う
  • 配置もいじらない気がする
    • 理由は、配置で課題を抱えている部分が特段ないから
  • 強いていうなら、クロアチアが前プレをどこまでかけるか
    • ブロゾビッチを押し出して2CBにプレスいきたそうではあるけど、いって実る場面が多いわけじゃないのが苦しい
    • かといってボール保持をしたいようにされるのも相当嫌そう、だしクロアチアがボールを奪った後の配置がスペイン優位になりすぎてしまう
    • 守備の基準点は注目してみたい
  • スペイン側は基本振る舞いを変えずそのまま挑みそうだけど、前プレ喰らったときにどうするか見たい

後半


スペインの4バックがものすごく横にコンパクト。前半ってそうだったっけ・・・?と記憶を辿るも覚えていない。
こういうことがあると、1試合見終わった後に前半を見返さないとなあという気持ちになる。何試合見ても書いても、見落としてたななんてことは山ほど有ります。

クロアチアが横幅隊を高い位置に置いていないからなのかもしれないな、と思ったりも。
これは後半通して見ておかなきゃなあというポイント。

50分、2枚で前プレをスタートさせたクロアチアがボール奪取からシュートまで。これは一つ、プレスをする勇気を得られる結果。


とここでさっきの4バック問題の理由がちょっと分かる。クロアチアの右サイドにいるマイェルが基本的に内へ内へプレーエリアを取るからか。で、ククレジャはそこに対してガンガン捕まえに行くからCB前でククレジャが守備をするようなシーンも度々あると。
右サイドの横幅隊はある程度保持が出来そうな段階でSBであるスタニシッチが担当するから、そこはスペインのSH、ニコウィリアムズが引いてくると。なるほど。


クロアチアは前半と変わらず、時折入ってもおかしくないチャンスを創出していく。
前プレをかけるか伺っているスペインの前線中盤とバックラインで距離が離れた瞬間に迷わずそこを利用する観察眼。そして体を張って凌ぐスペイン、ククレジャ魂のブロック。
54分の一連のシーンはこの大会のレベル、テンションが凝縮された場面と言っても良いんじゃ無かろうか。言い過ぎだったらすまない。

60分、クロアチアがクロスまで辿り着いたシーンは先程挙げたククレジャの守り方を利用したような攻撃になった。
割とマイェルを捕まえる!という意識の高いククレジャが横幅確保しているマイェルを捕まえに上がってくる、と同時にスタニシッチは内側のレーンに移動、ただニコウィリアムズとククレジャで受け渡しが出来ていないためスタニシッチが一気に爆走できた、という場面。


スペインは軽やかに235、244、325と列降りによって適宜配置を変えるような動きを見せながらボールを保持していく。
ここは変形ではなく、列降りの判断とそれに連動したリバランスといった方がいい気がする。
それでも果敢に中盤から人を捕まえ、ボール奪取の場面も何度か見せるクロアチア。


ちょっとスペインのSB付近の守り方が怪しい感じがする。大外まで引っ張り出されないようにするんだけどじゃあ大外誰が守るんだい?とりあえず放置で最後のシュート場面を防ぐしかなくない?みたいな形がちらほら。


クロアチアのPK、ちょっと怪しすぎて笑った。いや、もらいにいったのか本当に地面を蹴っちゃったのかは分からないんだけど。
ただボール保持大国スペインでもこういうミスがあるんだから、保持に挑戦するチームはいつもこういうリスクと向き合ってるんだよなと思う。ヴェルディとか良くやってますよ、凄い。


最後の方は、失わないことに方針をやや傾けたスペインの保持と前から追うよりも撤退守備を選択したことに対し、優位な回答を出せなかったクロアチア。終わってみれば3-0という盤石なスコアとなった。


ざっくり感想


  • 両者ともに考え方がそこまで遠くないからこそ、差が見えたような試合にはなった。
    • クロアチアもチャンスを決めていればもう少し違う展開はあり得たと思うが、10回やれば7回ぐらいはこの展開かな、というぐらいの妥当性
  • 途中でも書いたが、クロアチアはちょっと属人的な要素が強く、終盤の崩す手にかけた時間帯はある種それの象徴だった気もする
    • 前プレを回避しながら保持前進を根性で遂行する時間帯も少なくなかったが、全体の共通認識や仕組みというよりも数人のキーマンによって成し遂げるような形
    • 右サイドのマイェルとスタニシッチのコンビは終盤まで運動量含めて頑張っていたが、ククレジャの粘り強さもまた凄い。
  • スペインはとにかく全体で同じイメージを描いて連動する様子が超絶スムーズに見えた
  • 数的同数で嵌められたときの回避から前進まで持って行く練度は特に圧巻
    • この試合、基本的に「列落ちは捕まえに行く」という守備がどちらも行われていた
    • その中で、捕まえに来た結果同数に持ち込まれてもスペインの方が剥がせていた、というのは大きく戦局を左右していたと思う
  • キーパーがどっちも凄い、バカ試合になってもおかしくないような展開だったがスーパーセーブがお互いにあったことで見てる側としても締まった展開になった
  • なぜバカ試合になってもおかしくないかといえば、お互い結構チャンスがあったから
    • ポゼッションを志向した両者は結果的にスーパーマンツーマンバトル気味になる
    • となると、奪った瞬間が一番マンツーマンが崩れる、つまりトランジションで勝てば良い
    • というチャンスが多かった中で、セットプレーや押し込んだ状態から点を取れたスペインが勝ったというのは綺麗なお話だったりする。

他の人のレビューを読んでの感想


  • 先に紹介した記事でも書いたが、試合を見てから他の人のレビューを読むと自分に何が見えていて何が見えていないのかを発見できる
  • 今回拝読した記事
  • がーすけさんの記事を読むと、ちゃんと内情を知っている人のレビューは背景や普段との違い辺りが分かって楽しいなと思う。
    • スペインのスタメンの意図とかね
  • ベコムさんは相変わらず読みやすい。「持ち物検査」みたいなキラーワードをちゃんと出せるのが羨ましいセンス。
    • ちなみにベコムさんが普段記事を書かれているプラットフォームとこのブログは同じものであり、箇条書き方式もベコムさんのを見て取り入れるようになりました、ここでお詫び申し上げます
  • 世界中のサッカー全部見るマンせこさんは、文量と内容のつり合いが綺麗。
    • 僕は無駄に文量が長くなりがちなので、まとめられる能力に嫉妬する傾向があります
  • 中身の話ですが、だいたい見てる部分は合ってるかな、という印象。
    • 選手名も何も分からないまま見たにしてはひとまず合格点(巻き戻し機能を多用したことは内緒です)
  • 何枚も図を作るのが精神的に苦手なので、そこは今後克服したい
  • がーすけさんほど細かい仕組みは見抜けてなかったのでめっちゃ参考になりました

レビューを書くという行為について


普段私が試合のレビューを書くときは、頭の中でだいたい今回の記事で書いたようなことを考えています。
で、理由が分からないシーンは巻き戻しして見返したり。

もちろんこんな文章としてちゃんと書くわけではなく、メモ書きだったりXのポストにしたりです。
それを、どうやって文章にまとめるかというところで
「何を取り上げるか」
「何を取り上げないか」
の取捨選択をしながら適切な文章量にしていく、という順序を取っています。

ただ最近は、あえて時系列順に気になった事象を全部取り上げることで
「これを読みながら試合を見ると勉強になる」みたいな記事を目指す形が多いです。なのでちょっと書き方は今回の記事に近いパターンが増えてきました。
これはスタイルの問題ですが。

その上で今回は、
  1. 他の方もレビューを投稿することが確定している
  2. 事前情報無しで試合を見ることが少ない
という点から、あえてどんな思考で見ながら書いてるかを全部書き出しました。
おかげで8000字近い怪物レビューになってしまいました。


ただ、これがきっと誰かの参考になると信じています。


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