2026ワールドカップ準決勝 イングランド vs アルゼンチン「イングランドはいかにして殴られたか考えてみよう」

2026年7月23日木曜日

2026ワールドカップ

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 ワールドカップ分析祭り、ありがたいことにもう一試合の担当をいただいた。



ただ、奇跡的にワールドカップ期間仕事が一気に立て込んでしまい、まさかのこの時期まで記事が書けず・・・

おまけに色んな方が書いているため、試合全体の雲行きや戦術的やりとりはもう網羅されている。

なので前回と同じく選手目線で、イングランドの殴られ方、逆転のされ方について考えてみようと思う。

試合の針を、70分ぐらいまで進めましょう。

殴られ始めは5-3-2


この試合のターニングポイントと一つなったのが、72分の選手交代による4-4-2から5-3-2への変更だったと思う。

なぜ変更したのか、何度見返してもよく分からない。

確かにそれまで、大外の選手を使って横幅で殴る、というトライをアルゼンチンは何度も試みていた。だから後ろを5枚にすることで大外への対応を早く、というのは分からないでもない。

ただ、これは単騎突破では無く、2枚以上のコンビネーションの形の方が多い。4-4-2ブロックの時はSBとSHのセットで対応し、3枚目には中盤がスライドしていたのでしっかり対応できた。

それが5-3-2になったことで、大外の一枚目は対応できるものの、中盤のスライドの距離は伸びるためボール保持者が持てる余裕はむしろ増大。しばらく外を起点にぶん殴られる時間となる。


で、この殴られた時間というのが、その後も思ってるより影響したんじゃ無いかな?と個人的には思った

下げた重心は簡単には戻せない


5-3-2で徹底的にぶん殴られたイングランドはすぐに5-4-1へと修正するが、重心の低くなった守備は変える事が難しい。なので修正しても尾を引いているように思う。

選手目線で、って話をすると、チームが決めているものとは別にうっすらと
「ここを基準に守った方が良さそう」「ここをプレスの開始点にしよう」
みたいなものがあると思っている。で、殴られれば殴られるだけ、その基準点はどうしても下がる。

理由としては、怖いから。行って剥がされるより、塞ぐ守備の方が対応しやすい。それに運動量もやや節約できる。

加えて5-4-1でも立て直せなかった理由としてもう一つ思うのが、両脇CBの役割がちょっと曖昧すぎた部分。

最終ラインに人数はいるけど捕まえるべき相手がいねえ!という状況になることが多かった、5枚を後ろに並べるメリットの一つが「前向きに迎撃できる」なんだけどそれがあんまり活きていない状態。

ただこれも心理状態を想像するに、アルゼンチンの選手は特に一人剥がして侵入するパターンやワンツーで突破する、やや密集系の崩しが多いからカバーを厚く取りたいのかな、とか奪いに行く瞬間を利用されそうなのかな、という気はした。

で、ボールにプレスがいけず重心が下がるというのは、ちょっと変則的だが同点ゴールもそう。もちろんデザインプレー気味だしセットプレーだから特殊ではあるんだけど、事象としては同じようなことが起こっていたなあと。

重心が下がってしまったので、ケインが前からプレスに行く素振りを見せても周りはついて行けない。結果ケインまで下がって守備をするのでカウンターの起点どころか陣地回復すら難しい、という展開に。

アルゼンチンのクロスが有効だった理由


とはいえアルゼンチンがさすがだったのは、途中から明確にクロスという選択肢も加えたところだと思う。

あれだけ押し込めているなら得意のペナ角近辺からの崩しを徹底しても良さそうなのに。

先ほど、両脇のCBが余っているために守備の基準点が落ちていく、という話をした。だがことペナ角近辺の崩しに対しては、この余った選手達がしっかりとカバーの役割を果たせる。

逆に言うと押し込まれることを受け入れた守り方になるので、最低でも延長戦に持ち込み、一度立て直す時間を作る以外に生き延びる道はなかった。

だがクロスとなれば話は別。極端な話、フィニッシャーが競り勝てれば良い。

中盤が負けているならロングボールですっ飛ばして無視するのと同じく、クロスをピンポイントで合わせられれば人数を無視した攻撃ができる。

おまけに押し込んでいるのだから、こぼれ球の回収率も抜群に高い。

こうして、アルゼンチンのクロスが有効に働く、一方で引きこもって守ろうとすれば90分のマクアリスターのように、しっかり崩しも狙ってくる。

アルゼンチンからしたら、イングランドがどこに人数をかけてるか見て選択すればよく、イングランドにはそれを覆す手段が残っていなかった。

そして最終的にはメッシのクロスに対しラウタロがドンピシャで合わせてフィニッシュ。

皮肉なもので、殴られ続けたイングランドの最後は、人数が揃っているのにマークを全く捕まえられない、という失点してしかるべき対応からの失点となった。5枚の強みを全く活かせなかった瞬間を見逃さなかったメッシのクロスの質とラウタロのポジショニングは本当に凄まじい。

それはそれとして、延長になったとしてもイングランドが巻き返すことは難しかっただろうし、そもそもピックフォードとポストがチームを救いまくっていたので時間の問題ではあったのだが。


おまけ


これだけのアルゼンチンを、90分間シュート0に押さえ込んだスペインは本当に意味が分からない。いや構造だけはざっくり理解できても、細部は全く分からない。

Jリーグが開幕するまでの短い間、1試合でも多くワールドカップを見返したいし、決勝は複数回見ないと分からないなあと思う。

そこら辺まで消化したら、個人的な大会感想文なんかを書けたら良いな。

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