2024年 J1第10節 広島 vs 川崎ざっくりレビュー

2024年4月29日月曜日

2024J1 サンフレッチェ広島 川崎フロンターレ

t f B! P L

 
現地に観に行ってきました、広島川崎戦。

新スタジアムの近くにある旧市民球場跡地(ひろしまゲートパーク)では、「鶏フェス」なるものが開催されておりまして。



海外のビールと最高に合う鶏料理の数々、ということで試合前後どちらもこの会場は広島川崎両サポーターがたくさんいらっしゃいました。

かくいう私も試合後に初対面の方も交えてハイネケンを美味しくいただいたので、このひろしまゲートパークとの位置関係は非常に良いなあと。定期的にイベント開催されているので、試合前後は繁華街だけでなくここもチェックすると、広島にお越しの皆さんは楽しめるかも知れません。


ちなみに今回開催されている鶏フェスは5/6まで開催ですので、名古屋サポさんは是非に。

という前文を書きましていざ試合の方へ行こうかと。

前半


いつものように前から強度高く守備をする広島。川崎のGKはソンリョンではなく上福元ということもあってか、GKまで追い回すと言うよりもそれ以外をマンツー気味に捕まえて「さあどこに出しますか?」と問うような形。

普段からポジションを一つ下げて満田がボランチ、シャドウにはマルコスジュニオールが入る形。

対する川崎は最近評判良いと聞くエリソンがど真ん中に。中野とのデートをどっちが制するのかという感じになるかなという出足。

余談だが広島ではサイドでスタメンを張り続けた中野だが大学時代は世代No.1CBとの触れ込みだったので全く問題なくこなせているのが凄いのか、むしろサイドでポジション勝ち取っていることが凄いのか分からなくなってきた。


川崎としては、広島の前線守備をしっかり剥がして押し込むことをまず主軸においてボールを持つ感じ。家長が列を降りて+1になったり脇坂がタイミング良く列降りして橘田と関係を作ったり、今日は遠野もその役割を割と頑張っていたと思う。

一回押し込めばセカンドボールの奪取もしやすく、簡単にカウンターは喰らわないよう広島の配置をコントロールできる。広島の前線は誰もが裏取りも背負って時間を作ることもある程度出来るが、破壊的な独力カウンターを完遂できるタイプではないということもあり、この時間をどれだけ増やせるかが一つ川崎は大事だったのではと。


横幅隊と言うよりもフリーロールに近い家長の振る舞いを見ながら横幅を取るべきか内側のレーンに居るべきか常に判断を迫られる遠野は大変そうだと思いつつ、こういう負荷があるタスクって成長に繋がるよねとふと思う。元々馬力があるプレイヤーなので外良し中良しになると魅力。


広島が保持から攻撃するときは割とシンプルでU字にCB→WBと展開、だめそうならやり直しつつ裏への飛び出しに対して積極的にボールを出す形がやはりメイン。WBが良いクロスを越道東どちらも持っているため合えば1点だしある程度えぐって勝負も出来る、後ろからは松本が積極的に飛び出すといういくつかのバリエーションは持っているもののカウンター時の攻撃の方が圧倒的に得意そうに見えるのは変わらず。


川崎で面白いなと思ったのは前半終盤、家長がCFに、エリソンがWGになっていた時間帯。家長はヘディングが強いのである程度競り合いに対して計算が立つ、エリソンはどっちかというと前向きでボールを持つ方が生き生きするという意味で案外成り立つんだなというかエリソンこっちのが活きるのでは?という気持ちに。

とはいえそうなると真ん中で裏取りを試みるタスクまで家長に任せるのはかなり難しく、その結果小林の投入になったのかななんて思ったりする。ボールが来ずとも我慢して駆け引きできるというのは良い特徴。それはそれとしてゴメス使わないんだなという気持ちもあるけれど。あの頃のスウォンジーが好きだったのでゴメス君もうちょっと見たい気持ちは超無責任にあります。


広島の先生シーンは上福元ちょっとミスったかなあと思わなくはない。ただそれ以上に全く大橋を管理出来なかった佐々木の方が個人的には気になる。

広島としてはある程度押し込んだ形からクロスで点が取れる、という体験は大きいのではないか。カウンターが封じられる、あるいはボールを持たされる展開になっても点は取れるんだぞと思えるかどうかって部分で。とはいえその前のカウンターも超決定機になっていたのでやっぱカウンター上手だなと思う。マルコスがブランク全く感じさせないのが凄い。スピードを上げて攻撃していく中で技術的ミスがほぼ無い。


というところで前半が終了。

時間帯によっては川崎がやりたいこと(保持からの前進、押し込んでセカンド奪取から再攻撃)を見せつつも広島の方がその時間は長かった印象。川崎は低い位置での安易なボールロストがないのだがロングカウンターでも切れ味を見せる広島。先制点もロングカウンターで押し込んだ後の二次攻撃だしね。

川崎は前線のプレスを交わして、ある程度セットした位置からの攻撃が多いのだが崩しきれない。家長脇坂遠野が配置をずらしてフリーを作ろうとしたりペナ角から崩そうと試みるが勝負に入るときのパスが合わなかったり広島が引っかけたり。最終的にドフリーでシュート打てました!というシーンがほぼ皆無。押し込むことはある程度出来るがそこから先どうすんねん!という。エリソンが活きるのはカウンター時っぽいしなあ。


広島としては前線からのプレスを回避されては居るもののGKまで追うかの判断が共有され、橘田の管理もわかりやすく出来ている。それでも川崎はワンタッチの連続で前進出来るためそこをどう対策するかという感じ。でも奪えなそうと分かればしっかりセットして守備もするため大きな変更は無さそう。


後半


広島は交代無し。
川崎は後半開始からエリソンに変えて小林。より起点作りと裏取りと、攻める択を増やす一方でマンパワーは若干下がる交代と言っていい気はする。ただ押し込むところまでは出来ているため、その先で同点を取るかと考えると小林の器用は分かる。

実際、後半開始直後に小林がワンタッチではたいてからの動き直しで中野を振り切って決定機を作り出す。たぶんこういう崩しの一手を生み出せるという評価が鬼木さんの中で高いのだろう。

川崎はヘディングが強い中野に対して、他の選手がファウルにならないギリギリで邪魔するというプレーを取り入れるようになる。審判によってはファウル取られまくりそうなプレーなのだがこの試合ではほぼ後半全編にわたってこれが繰り返され、ロングボールでも陣地回復が出来るようになっていく。


この競り合い妨害、どう対処したら良いんでしょ。ボランチ一人下げて2-2の競り合いにするしかないのかな。現場でこれ解決できるぜって人居たらコメントください。難しそう。


川崎の同点弾は大迫がハイボールへの飛び出しを完全に見誤ってしまった格好に。ボールがこぼれる位置になぜかいる小林は短時間で価値を証明するゴール。フリーキックに繋がった川崎の前進も列降りして起点を作った小林は偉い。


DAZN見返ししてて気になったのは、ここら辺からより川崎が前プレを果敢にかけるようになってゲームスピードが若干加速し始めたこと。前線のメンバー変更がきっかけなのか、監督指示なのかは分からないが、これにより広島の前進がちょっとずつ怪しくなる。

元々セーフティに外経由で回しつつチャンスがあれば積極的に裏、というシンプルな前進であるため前プレがかかるとよりロングボールを蹴る頻度の上がる広島。より自分たちがボールを持つ時間を延ばす結果となった川崎にとってこの変化は歓迎すべきものだったかもしれない。


展開が早まりつつある中で川崎の逆転弾。GKとDFラインの間に放り込んだボールから山田。中野のマークを外すマイナスへのボールの引き出しが見事。大迫はクリアが上手く出来ていればと悔しくなりそう。佐々木へのファウルは議論を呼びそうだけど、この試合を通じてファウルはなかなか取らないという基準で一定はしていたため理解できる。確かこの後の広島のゴール時にも同様な事が起きていたので公平ではあったのではないかなと。

ここら辺から両者交代が相次ぎテンポが上がる。

広島が追いついた加藤のゴール、ここもやはり佐々木が完全にマークを見ないままラインアップして背中に置いてしまった感じ。川崎の試合は全然見れてないからこれが頻発しているのか今日たまたまなのか分からないけども。

逆に広島としては良いプレーを続けていながらゴールという結果がなかった加藤に要約のゴール、しかも逆転された直後と言うことで会場のボルテージが凄まじかった。


ただこの勢いをシャットアウトしたのが、大橋のヘディングを2度スーパーセーブした上福元。特に87分のセーブは鬼。


最後の方は両者疲労困憊の中でオープン合戦、家長佐々木翔がそれぞれ長距離ダッシュで戻ってカウンターを防ぐ熱い場面あり、ゴール前まで迫る場面ありと死闘を繰り広げてのドロー。この日は気温と湿度もあってかなり過酷な試合だったなと。見応えは凄かったです。


雑感


広島はやはりチャンスの数に対して得点が付いてこない、という気持ちがずっとありそう。J1唯一の負け無しでありながら3連続ドローという結果をどう受け止めるか。あとは決めるだけ、といえばそれはそうだし大原則となっている強度と守備判断の共有はリーグトップクラスなので報われる日まで続けることになりそうだし、報われる日はそう遠くないと思う。



川崎は交代カードによって変化を付けられた一方で広島は交代選手のパワー不足を感じる場面がちらほらあるのが目に付いたかも。志知は自分の特徴を押し付けるように半歩外してクロスからチャンスへというプレーが見られたが新井はもうちょっとやれそうだしピエロスと野津田は物足りなさを少し感じた。

特に野津田は同学年としてプロ昇格当時のスター感を知っているのでなんとか復活してほしい。最後の最後に付けた縦パスはほんの少しらしさを見せたかなと思う。それ以外の場面を見ると現状はスタメンに食い込むの厳しいのかなと思ってしまう。川村の離脱が長引くかどうかによって広島は疲労の度合いが変わってきそう。



一方の川崎は全試合見れているわけではないけども久しぶりに川崎らしいというか、ちゃんと前プレをかわしながら押し込んで二次攻撃して、という形を見れたしそれがリーグトップクラスの強度を持つ広島相手に出来たのは収穫なのではないかと。

ただエリソン家長マルシーニョってどう使うねん!というのが難しそう。一方で以前見てた遠野のイメージとこの試合での器用に配置を取るプレーに差があって上手だなあと思いました。守備でも馬力を出せるし、ちょっと今後注目したいなと。


プレーに関して言うと、中野を飛ばせないようにギリギリで妨害する小林と山田のプレーはどこまでファウルになるのか、他チームがこれを真似するのかどうかちょっと気になる。
あとこれだけ壮絶な試合になりながら、開始から最終まで強度とミスの少なさを保っていた大橋満田はスタミナお化け。イエローにならないファウルで上手くチームを支えた橘田の守備は個人的に好き。


ということで駆け足ではありますが、最近レビューをさぼっていたのでひとまずこんな感じで。

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